千葉・外房大原 脂の乗ったサバで狙うオニカサゴ

しっかりとサバ皮に掛かってくれた。初オニに木村さん、ニヤリ

<パパかっこいい!大人の釣り>

毎週金曜は「将来、こんな釣りをしてみたーい」という「大人の釣り」です。ちょっと難しそうだけど、やってみたら「あれ、できるかも」というビギナー向けの釣りガイドシリーズです。今回は千葉・外房の大原「力漁丸」(中井聡船長)から出漁します。脂乗りのいい、太ったサバを釣って、そのサバをエサにして夢の高級魚オニカサゴを狙っちゃおう!

外房・大原港「力漁丸」では、おもしろいリレー便を出している。

リレー便とは?

2魚種以上の釣りを、バトンを渡すように次々にこなす釣り船のこと。そして、「五目釣り」は、1つの釣り方で、さまざまな魚を釣ることを指す。リレー便では、釣るための仕掛けそのものを替えてしまう。

今回は、丸々と太ったサバ、白く透き通ったピカピカのヤリイカ、そして料亭の料理人が泣いて喜ぶ高級魚オニカサゴの豪華3魚種のてんこ盛りだ。

集合時間は早いんですよ。まだ、真っ暗な午前3時30分。力漁丸が停泊している前まで来てください。車はその前に止めていいですからね。

ここで、さあ、どうするか。大原港の場所、知っていますか? ちゃ~んと地図で確認してくださいね。東京、神奈川から行くとしたら東京湾アクアライン・圏央道を経由していけば2時間もかからない。ただ、初めての方は、前泊をお勧めします。それで、明るいうちに大原港をぐるりと回って力漁丸がどこにいるか探してみてください。船尾に大きく名前が書いてあるからすぐ分かりますよ。

船に乗るには余裕を持ってね。

仕掛けは用意できますか? サバは「房総フラッシャー」というのを探してください。意外と見当たらないんです。ヤリイカの「11センチプラヅノ(スッテ入り)5~7本バリ」とか、オニカサゴの2本バリはすぐ見つかるんですね、これが。

郷に入りては郷に従え。

房総半島に、よくあるドラッグストア「ヤックス」。大原店は、港からすぐ近くで24時間営業。何と釣り具も売っていて「房総フラッシャー」もありますよ。前泊できない場合は、ちょっと早めに来て、仕入れてくださいね。

さあ、出船。大原港からやや南に1時間ちょいほど走ります。そうそう、釣りは、午後1時までやるので、飲料と食料は持ってきてくださいね。たとえ忘れても、力漁丸の場合、後方のキャビンの中にカップ麺とお湯の準備があります。あったかいカップ麺がうまく感じるんですよ。

まず、サバから。フラッシャー仕掛けは、針に飾りがついていて、150号のオモリを下に付けて落とします。エサはつけません。サバが勝手にぶつかってきて、釣れてしまうんです。海面から70メートルも下げると…ゴゴン、ゴン、ゴン。オモリが海底まで届かないうちに止まってしまう。掛かったサバが暴れるので、仕掛けが落ちなくなったら、電動リールのスイッチを入れてください。

まさに鈴なり。今冬はサバは不漁でしたが、ここに来て、丸々と太ったサバが外房に回遊してきている。うまいですよ~。

船はすぐにサバだらけになっちゃう。寄生虫のアニサキスが気になる方は、サバの首を折って、内臓を切り落としてください。アニサキスは内臓に潜んでいて、サバが死ぬと肉の方に移動する習性があるので、内臓さえ除去してしまえば安心ですよ。

血抜きができたら、チャック式ポリ袋に入れてクーラーボックスに。真水に触れずに冷やせばOK。力漁丸では、水が入ったペットボトルを凍らせているので、魚をおいしく保存できますよ。

そして、ヤリイカ。これが正直難しい。そう、サバが邪魔しちゃうんです。ヤリイカの回遊層は、海面から150メートル。そこまで落ちる途中でサバがキラキラ輝くツノに突っ込んでくる。「でもね、このプラヅノに掛かるサバがデカくてうまいのよ」(中井聡船長)。ヤリイカは運試しですね。

さあさあ、本命のオニカサゴ。底まで約200メートル。200号のオモリを片天ビンにつけて、オニカサゴの2本バリ仕掛けを装着する。クッションゴムはつけなくていいですよ。逆にバレちゃうからね。

今回は、「海のおじさん」こと海洋環境専門家の木村尚(たかし)さんにサオを握ってもらった。200号負荷のサオと電動リールを、このために新調する気合の入れようだ。「初めてのオニ退治。私はね、ヒレ酒が飲みたいの」とニコニコ。一説によると燗(かん)に、干したヒレを入れるとおいしいのはトラフグとオニカサゴが横綱級とも。

エサは最初に釣ったサバを半身に切って、さらに縦半分。身はそいで、皮だけのペランペランにして、その端っこを針に縫い刺しにして長く垂らす。

中井船長 オニは不思議なんだけど、釣ったばかりのサバの皮が大好物。釣れますよぉ~。

200メートルのプチ深海。果たして魚信は届くのか? はっきりと分かりますよ。これがとっても強烈。オモリは、底をトントンとたたくぐらいで、できれば置きザオではなく、手持ちで味わってくださいね。ギュン、と来ますから。タコボウズ記者(寺沢です)も3匹ゲットだぜ。

木村さんも、念願のオニを確保して、胸ビレを干して、きれいに処理したんですと。それはそれは、おいしいお酒を飲めたでしょうね。もちろん、煮付けや刺し身も絶品。サバも酢でシメて良し、焼いて良し、衣をまぶして揚げて良し。大原のリレー便、楽しいですよ~。【寺沢卓】

▼船 大原「力漁丸」【電話】0470・62・0575。サバ→ヤリイカ→オニカサゴのリレー便は氷付き1万5000円。電動リールレンタルは2000円。