東京湾 誰でも釣れるブルブル大王、春もイシモチ

これが「ブルブル大王」イシモチだ!

<ママも一緒に! 家族で釣り>

誰でも釣れる-それが東京湾のブルブル大王だ! 釣りの魚で「冬の風物詩」はいろいろあるが、イシモチはその代表ともいえる。エサに食らいついたら、がっちりとハリをくわえて離さず、しかもその震動が強烈なのだ。日刊スポーツではそのすさまじさゆえにブルブル大王とネーミングした…ところが、今季はちょっと遅れめの登場でサクラ散る春のブルブル大王になっている。

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サクラの舞い散るこの時期、別名「サクラダイ」とも称されるノッコミ(魚の産卵行動)のマダイの活性が高い。今、各地の主役はマダイになっていて、日刊スポーツの主催するマダイダービー(3匹の合計重量勝負、期間内入れ替え自由)も東京湾と駿河湾で大盛況だ。

ただし、今回の主役はマダイではなく、季節外れのイシモチだ。

昨年末から今年にかけて、潮温(海水の温度)は20度前後の温かさを維持して、なかなか下がってくれなかった。冬の海らしくなかった。そうなると、冬に釣れるはずのレギュラーがへそを曲げてしまった。東京湾ではイシモチがそれだ。シロギスやアジなどの外道でもあるが、冬の東京湾では専門船まで登場する。

独特の強いアタリ(魚がエサに食らいついたときに発する震動で、サオを持つ手の感じる衝撃のこと)が特徴なのだが、繊細なアタリを好むシロギス愛好家から「イシモチはちょっと下品なブルブルなんだよね」などと鼻で笑われてしまう。

当社が「東京湾・冬のブルブル大王」と命名したものの、いまだに定着する兆しがない。それでも、釣り未経験者には「キャー、すごい。何この生命の満ちあふれたブルブル、すごーい」などと大喜びしてもらえる魚なのだ。初心者にとっては、釣り入門編として最適といえる。

神奈川・横須賀市の新安浦「長谷川丸」では、今が旬なのだ。「まあちゃん」こと岩瀬正紀船長は「アタリは本当にメチャクチャ強い。底付近を探っていると突然ひったくられるからね。サオはしっかり握っていてくださいね」と、アタリの強さに太鼓判を押した。

ブルブル大王の実釣日は今月2日。中潮の2日目だ。月の満ち欠けで、干潮と満潮の高さに大きな落差が出る「大潮」では、マダイの食いがいいために長谷川丸では、マダイのタイラバ船に重点を置く。そして、落差が小さくなる中潮、小潮、長潮、若潮でも、食いが落ちないブルブル大王を狙いにいく。釣りものに関しては長谷川丸に確認してもらいたい。

「まあちゃん」からの注意点は2つだけ。

(1)エサのアオイソメは付けられるだけ付ける イメージとしてはフラダンサーの腰みの。たとえ食いちぎれてボロボロになったとしても、どんどん掛け足して、ホウキのようにしてもらいたい。

(2)真下に仕掛けを落とす 仕掛けは30号のオモリを下につける胴付きタイプ。ハリ2本。市販の仕掛けでいい。水深は約30メートル。オモリを底でトントンさせてハリについたアオイソメを踊らせるようにしてアピールさせる。船はゆっくり移動しているので、アクションの“トントン”のときに道糸が斜めになりがちだが、自分の釣り座の真下を意識して道糸に角度が出ないようにする。

そうすると、仕掛けを船の速度で移動させられるので、ブルブル大王に遭遇するチャンスが広がるのだ。

あとは、長谷川丸に乗船して「下品」なぐらいの強烈なアタリを味わってみてください。

「えっ、魚、ってこんなに力強いの? 誰かが潜ってるんじゃないの? これドッキリなんじゃないの?」というぐらい。

クセになるかもしれませんよ。

それと、食べておいしいのもうれしい。魚料理では定評の高い東京・築地の日本酒専門店「熊ごろう」に持ち込んだ。佐藤敦聡店主は「脂乗りが素晴らしい。一夜干しにして軽くあぶっただけなのに味が深い。イシモチと聞いて、なめてました。ごめんなさい。えっ、ブルブル大王なんですか? それは釣ってみたいなぁ」と食材としても大絶賛だった。

まあちゃんは「様子をみながらになりますが、4月いっぱいはイシモチをやっていきます。お待ちしてまーす」とのこと。家族でも、カップルでも、ブルブル大王を味わってね。【寺沢卓】

◆船 新安浦「長谷川丸」【電話】090・6021・5919。イシモチ乗合船の集合時間は午前便は同6時30分、午後便は同0時30分で、どちらもエサ&氷付き6000円。1日乗船の場合、午後便は3000円。駐車料金は500円。金曜定休。