千葉・館山 金アジ大漁 絶品料理ゆったり房総の旅

36匹を釣った佳江さん。「チョー楽しかった」とニッコリ

<ママも一緒に! 家族で釣り>

春を求めて千葉をぐるん。家族でも楽しめる内房・金谷の金アジを南房・館山まで移動して、おいしいイタリアンでいただいた。とにかく釣り人は忙しい。釣り場に急行して、下船したら渋滞が発生する前に帰宅する。あれ、どこに行っていたの? 宿泊込みで、もっとゆっくり千葉を楽しんでみませんか。

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最初は、釣れ始めた春イサキを狙う予定だった。だが、風には勝てない。外房はうねりも入って、船を出せる海況ではなかった。これも春、仕方ない。そこで、比較的逃げ場のある内房・金谷「光進丸」の魚体キラキラ金アジに切り替えた。

同乗するのは、人気テレビ番組「ザ!鉄腕!DASH!!」に出演する“海のおじさん”こと木村尚(たかし)さんと、料理番組のフードコーディネーターを担当する西原佳江(かえ)さん。釣った魚をおいしく春メニューでいただく企画に食いしん坊の2人が乗ってきた。

木村さん それなら、ちょっと寄り道しましょう。

佳江さんとは夕方合流するとして、早朝に車を富津・上総湊に走らせた。

取材したのは4月13日、東京湾に注ぐ湊川だった。堤防からニョキンと伸びた足場があって、その先に四隅を竹材などでつるされた正方形の網がぶら下がっていた。四手網(よつであみ)という伝統漁法で、上げ潮で海から川にのぼってくるシロウオをすくい取る大仕掛けだ。戦後のころは東京湾に面した各地に並ぶように各戸で設置していたが、今では関東地区では、この湊川にしか残っていない。

持ち主は椎熊邦広さん(79)。漁期は3月下旬から約1カ月だけ。漁業権を持ってはいるが、漁獲を売ることはしていない。とったシロウオは配っている。

椎熊さん これはここらの春の風物詩だからね。ここらじゃ、この魚をシラス、っていうの。小さくて透き通ってるのは全部シラス。その中で細長くてひょろひょろしたのがシロウオなんだね。酢じょうゆでおどり食いなんていってるけど、シロウオもたまったもんじゃないね。

事前に連絡して予約さえすれば、誰でも体験できるが、すでに今年は20日に機材は分解して倉庫に収納してしまった。

木村さん また、来年ですね。後継者がいないから、この網を組み立てて管理してくれる若者が出てきてほしいね。水産科の学生さんとかで研究対象にしてくれるといいんだが。

何回か網を上げ下げして50匹ほど生きたまま捕獲できた。椎熊さんにいただき、酸素吸入器で生かして、途中で佳江さんも合流して館山まで運んだ。

持っていったのはかつては国鉄の寮だった「ホテルファミリーオ館山」。長期滞在もできて、今回は2泊した。翌14日に金谷で金アジを釣って、ホテルのイタリアンレストラン「ボーノ!」で料理してもらう作戦を立てていた。

金谷での釣行は順調。キャプテン・マッチ(町田崇船長)の指示するタナ(魚の泳層)に合わせると面白いぐらいに釣れた。タコボウズ記者(寺沢です)も含めて3人で79匹。アジ初体験で35匹を釣った佳江さんは「こんなに釣れたのは初めて。アジ、楽しいですね」とニコニコ顔だった。

安藤フミタカ料理長は「アジは今の時期、あっさりした脂乗りなので、オーブンでパン粉をまぶして焼いてみました。地中海料理のベッカフィーコといいます。本場ではイワシを使うんですけどね。あと、トマトとローズマリーと軽く塩をふった煮ものもどうぞ。釣りたての新鮮なアジなので熱は浅くして風味を楽しんでください」と2種のアジ料理を解説してくれた。うまい。刺し身やフライも絶品だがイタリアンも面白い。

シロウオは地元野菜と一緒にイタリア風かき揚げに。タマネギとトマトの甘みと酸味がシロウオにぴったりだ。

木村さん アジのイタリアンは想像つかなかったけど、これならワインではなく日本酒でもいけそう。素晴らしい。

ゆったりと過ごす千葉の旅。こりゃ、クセになりそうだ。【寺沢卓】

▼船 金谷「光進丸」【電話】0439・69・2232。金アジ乗合船は午前6時集合(5月から同5時)で、コマセ・エサ・氷付きで8500円、小学生は4500円。ほかにウイリー仕掛けを使ったアジ五目船あり。詳細は要確認。

▼宿泊 ホテルファミリーオ館山【電話】0470・22・8861。時期にもよるが2食1泊で9100円~、素泊まりなら6200円~。釣った魚を持ち込む場合、2泊のお客さんを対象とする。魚を預かって安藤料理長が食の好みなどを聞いてレシピを考えるため。まずは電話してください。