＜パパかっこいい！　大人の釣り＞

初心者でも海の王者マダイは釣れるのか？　釣れるんです。そう、今の東京湾ならできちゃいます。千葉・内房の富浦「共栄丸」では1～2キロをレギュラーに3キロ超の大きなマダイも釣れている。そこで、まだマダイを釣ったことのないビギナー2人に「正しく」かつ「気持ち良い」春のノッコミマダイのコマセ釣りにチャレンジしてもらった。へへ、ちゃんと釣れましたよ。

東京湾の地図を見てもらいたい。千葉県の房総半島の下（南側）、東京湾の入り口に当たる付近が富浦になる。東京湾では最南端の場所だ。さまざまな魚が入り込んでくるエリアになる。

春は恋の季節。マダイだって同じだ。ノッコミと称される産卵期間に突入し、オスはメスに自分をアピールするため、体色を黒く炭をかぶったようにすすけてくる。大きなマダイの動く時期なのだ。

今、富浦ではマダイが釣れている。1キロ前後から2キロぐらいの「食べごろサイズ」から、3キロ超の「どデカいサイズ」まで、掛かってくる。初心者でも、この時期にサオを出せば、かなりの確率でマダイをゲットできてしまう。

ただし、世の中、そんなに簡単に願いがかなうものでもない。

マダイを釣るための「正しい」やり方を実行すれば「気持ち良い」釣果を残すことができるのだ。

富浦「共栄丸」笹子宏宣船長は「まず、タナなんだなぁ。魚探（魚群探知機）の反応を見て海面からの深さをいうので、その深さにコマセカゴを合わせてほしいんだなぁ」と話した。

「タナ」とは魚の回遊する層を意味するが、この場合はコマセカゴの位置を示す。マダイは底ギリギリで息をひそめているが、魚の寄せエサとなるコマセ（共栄丸はオキアミ）を散らすことで魚の泳ぐ層はあがったりさがったりする。

最終的には、オキアミを付けたハリが、マダイの泳ぐ層に入り込めばいい。コマセカゴから下に延びるハリスの長さは10メートル。笹子船長はそのハリス分を差し引いてコマセカゴの位置を釣り客に伝えているのだ。

今週火曜付で金谷の金アジ釣りのリポートを掲載したが、この記事に登場した「海のおじさん」こと海洋環境専門家の木村尚（たかし）さんとフードコーディネーター西原佳江（かえ）さんがアジ釣りの翌日となる4月15日に共栄丸の午後便に乗船。さらにサッカーJ2千葉のチームスタッフ利渉洋一さんもサオを出した。木村さんは高校時代に神奈川県選抜入りしたサッカー通で、佳江さんは順天堂大OBとして利渉さんとは交流があり、釣行が実現した。

3人ともマダイ釣りはビギナーで、佳江さんと利渉さんは、まだマダイを釣ったことがなかった。

笹子船長の指示するタナに6～8メートル足した深さまでコマセカゴを落として、サオを振ってコマセを出す。そこから指示ダナまでリールを巻いて、コマセカゴをセットする。3人ともこの「正しい」方法でサオを固定して、アタリを待った。ここまでできていれば、マダイは振り向いてくれる。

まず、サオがしなったのは木村さん。タナに合わせた直後にギュン。そのまま巻き上げると3・5キロの大型。木村さんは「ヒロ船長（笹子船長のこと）すごいわ。マダイ釣りは基本が大事だね」。このあと2匹と43センチのアジを追釣した。

佳江さんも何度か船の揺れで睡魔に襲われたが、サオを出して1時間後に約1キロを釣るとそのあとは目をパッチリさせて集中できて計2匹を釣った。「金谷のアジ、富浦のマダイ。釣れると面白いし、楽しい。気持ち良いですね」と佳江さんはニコニコ。

利渉さんは船釣りは2回目。前回はマダイ五目船でイナダだけだったが、今回はサオ先の微妙な動きを逃さずに700グラムを釣り上げ「1匹だけだけど、この釣れた瞬間はビビッてきますね。スゴい」と感慨にふけった。

この日は8人全員がマダイを釣った。笹子船長は「いい調子になってきた。まだまだいけそうですよ」と全開宣言。東京湾の入り口、富浦沖にマダイがいますよ。【寺沢卓】

▼船　富浦「共栄丸」【電話】090・7244・0460。マダイ午後便は午後0時30分集合でコマセ・氷付きで7500円。午前便は午前4時30分集合、同1万円。

▼ダービー　マダイ3匹の総重量審査で競う「Tokyo　Bayマダイダービー」開催中。5月19日まで。共栄丸の他に勝山「宝生（ほうせい）丸」、八景「太田屋」、久里浜「大正丸」の4地区合同。初回登録料1000円（日刊スポーツロゴ入り「恵比寿様の大漁袋」が参加賞）で、以後どの宿に乗ってもOK。入れ替えは1匹からで期間内なら何度でも挑戦できます。

▼食べ方　最後に残った頭と骨をこんがりと焼いて、土鍋で炊きあげてもタイ飯ができる。だしは水にそばつゆ＆お酒で十分。ふたをして強火にしてふたの穴から水蒸気が出てきたら、中火で10分、弱火で8分、火を切ってむらし6分でできあがり。