兵庫・家島諸島 悪条件もなんの、キス爆釣73匹

吉武さんが釣果を披露

<乗合船FISHING>

悪条件もなんの、スペシャリストの技を見た! キスの食いが本格化してきた兵庫・家島諸島周辺へ先日、姫路市の知々丸(日刊銀鱗倶楽部加盟店)の乗合船で出たが、潮の流れが鈍くて四苦八苦。それでも、大手釣り具メーカー・がまかつの吉武賢次さんは、竿をあおったあとに仕掛けがなじむまでの小さなアタリを次々キャッチ。他を圧倒する釣りっぷりで17~25センチを73匹も釣り上げた。キス釣りは鈎(はり)が命。がまかつ鈎の刺さりの鋭さを思い知らされた。

前日は今季初の3桁釣り。爆釣を期待して乗り込んだが、潮の流れが一転して鈍くなり、キスの反応も一気にダウン。そんなタフな条件でも、異彩を放ったのが、ロングハリス(全長90センチ)の「船釣キス早掛SP2本仕掛」を使う右舷前方の吉武さん。竿を大きく上げてからオモリを落とし、仕掛けがなじむ途中のアタリを次々にとらえ、ダブル交じりで入れ掛かり。

実は吉武さん、大手釣り具メーカー・がまかつで鈎の開発をしているスペシャリスト。「この仕掛けは摩擦抵抗の少ないナノスムースコートが施され、刺さりが抜群にいい『T1競技キスSP』という鈎を使っているのでキスがついばむような小さなアタリでも確実に掛けられるんです。競技の釣りから生まれた鈎なので掛かりが早く、キープ力も抜群にいいですよ。ほら当たったでしょ」と記者の目の前で2連掛けを連発させる。

大半の人はオモリで底をたたいて砂をまき上げたあと、底から少し仕掛けを引き上げて食いを待つという基本的な釣り方で探っているが、とても吉武さんには追いつかない。鈎が違うのか、それとも腕の差か。別次元の釣りっぷりで午前10時までに17~25センチを40匹もキープ。記者は20匹ほど。倍も違う。

その後も吉武さんの独り舞台。他を圧倒するハイペースで釣り続け、日が高くなり、潮の流れがさらに緩むと「T1競技キスSP」を結んだ自作の振り分け仕掛け(短ハリス25センチ、長ハリス60センチ)に交換。キスの食いをつないでいく。

この仕掛けは長さの異なるハリスを天秤に直結したもので、「上鈎と下鈎でエサの落ちる速さが異なるので、アピール度が高く、キスの食いが渋いときに有効なんです。こんな仕掛けも作ってみたいですね」と実釣テストにも余念がない。

結局、午後1時まで、ほとんど素ばりを引くことなく釣り続け73匹でフィニッシュ。船内の平均は25匹ほど。がまかつ鈎の掛かりの良さと食い渋るキスへのアプローチを知り尽くした吉武さんの技をみせつけられた。【近江康輔】

【今後の見通し】前日は豊中市の大石さんが100匹。少ない人でも40匹。キスの魚影は濃いので、潮さえ流れれば入れ掛かりが期待できる。家島でセミが鳴きだすとキスの活性がさらに上がり、絶好機を迎える。

【問い合わせ】「知々丸」【電話】079・327・1761。キスの乗合船料金6500円。午前5時集合、同5時半に出船。氷付き。

【交通】大阪からは阪神高速3号神戸線から第二神明道路へ。加古川、姫路バイパスを経由。中地ランプを出て国道250号を南へ。陸橋を越え最初の信号を左折。須加バス停前を右折。突き当たりを右折すると右側に知々丸の駐車場がある。