千葉・大原沖 哀川翔が時価モノ梅雨イサキ複数掛け

最後のこのイサキ1匹、狙って釣れたから、うれしいねぇ

<ママも一緒に! 家族で釣り>

南方からの刺客をアニキこと俳優哀川翔(58)が迎え撃った。千葉・外房の大原「力漁丸」では、梅雨から夏の乗合船の狙い目として高級魚シマアジの看板を出している。これまでもイサキを釣っていて、正体不明の魚に仕掛けを切られ続けていた。昨年、その“犯人”がシマアジであることが判明した。今回はアニキが仲間4人を引き連れて大原の海にチャレンジした。

大原沖にバケモノがいると聞いた。ここ数年、梅雨イサキの乗合船で、仕掛けを切られる現象が起きていたらしい。鋭いアタリで…プツーン。仕掛けが切られて正体が分からない。それが、昨年、分かったんだ。南方の高級魚の代表格、シマアジだ。刺し身はプッリプリだし、焼いても味が深い。しかも本来的には大原沖の緯度で釣れることなんざない。南からの刺客か、面白いじゃないか、その挑戦、受けて立つ。

そこで、オレもメンバーを選んだ。南の魚なので、故郷の鹿児島・鹿屋市の同期生、谷口土門(たにぐち・どもん、58)が、この釣りだけのため、経営しているバー「Teppen-Bar(テッペンバー)」を休んで駆け付けてくれた。

土門さん いやね、学校とかは一緒じゃなかったけど、ワルはワルを呼ぶじゃないですか。バケモノ退治だから、って。こりゃ、黙ってられないなぁ、って。

オイ、人聞きの悪いこというな、誰がワルだよ。オレは優等生だったろうが…まあ、いい。同期だから許してやろう。ちゃんと釣れよ!

ちなみにこの時期のイサキは梅雨イサキと称される。皮下の脂が厚くなってくる。1年でもっともおいしくなるんだ。シマアジに心を奪われちゃいけない。この時期のイサキ、これは時価モノだ。だから、目玉はシマアジとイサキ、ということになるな。

とはいえ、うれしい外道も次々に釣れる。キロオーバーのマハタもヒットする。モゾモゾするアタリはウマヅラだ。カワハギを「ホンカワ」といって区別しているけど、釣ったウマヅラは格別だぜ。ムニエルにしてみてくれ、そのまま「ホンカワだよ」って出しても分からないかもしれないな。

さぞや、ものすごいエサを使うんじゃないか、と思うだろ? オレも驚いたんだが、ハリにエサは付けない。60号のコマセカゴにアミコマセを入れるだけだ。仕掛けはウイリーバリ(ハリに色つきの糸を巻いて飾りを付けたもの)か色のついたカラーバリの全長3~3・5メートル。ハリは2本か3本でいい。不思議だろ、エサなしの空バリでガンガン食ってくるんだ。

ただ、世の中、そんなに甘くない。イサキはタナが勝負なんだ。タナというのは、狙う魚が泳いでいる層のことをいう。中井聡船長がタナをマイクで教えてくれる。この場合のタナはコマセカゴで合わせる。しかも、底につけちゃいけない。海面からの深さを指示するから、そこに2メートルぐらい足した深さまでコマセカゴを潜らせて、コマセのアミエビで誘う。

大原沖の現場は、港から30分から1時間かかる。遠浅の海でどこまでいっても水深が30メートル以深にならない。かなりの広範囲だ。ちょっとした根周りがシマアジやイサキの回遊絶好地になる。この日は海面下25メートルから8メートルまで。1日の中でもめまぐるしく変わっていくので、どのタナが正解なのか、マメに狙うタナを変えていって、アタリの様子を探ってほしい。

6月8日に熱海沖で実施されたイサキ大会で3位入賞したエージが500グラムのシマアジをゲットした。すばらしい。エージは「突然、ギュンと引ったくられた。イサキではないと思った」と興奮気味に振り返っていた。おめでとう。

オレはイサキばかりだった。これね、コツがある。アタリがきたら、ちょっとリールを巻いて様子をみる。追い食いをしてくるかもしれない。オレは2匹、3匹と釣り上げることができた。アタリがきても、すぐにあげずに我慢して複数掛けを狙ってみてくれ。

ハリスの太さは1・5~2号がいい。シマアジに切られないように3~4号を使うとその太さを見切られてしまう。オレも最後は1・75号で海面下9メートルの浅いタナを狙った。シマアジではなく太ったイサキだった。狙って釣れたので、これはこれでうれしかったね。

土門はイサキ12匹を釣って満足したようだ。シマアジはなかなか強敵だな。本来は大原沖にいるはずのないシマアジ。これも温暖化の影響なのかもしれないが、また大原を訪れる理由ができた。待ってろよ、シ・マ・ア・ジ!【構成&写真 寺沢卓】

▼船 大原「力漁丸」【電話】0470・62・0575。シマアジ&イサキ乗合船は午前3時30分集合。アミコマセと氷付きで1万1000円。手巻きリールのサオセットは無料レンタルです。オニカサゴも出漁中。8月18日に大原港主催のテンヤマダイ大会を実施。募集中。