東京湾口 シイラ121センチ筆頭にメーター級連発

この日の最大は寛菜さんの121センチ。デカい!

<パパかっこいい! 大人の釣り>

猛夏の使者、シイラがどうやら本気になった。4日、富浦「共栄丸」では、東京湾口で121センチを筆頭にシイラのメーター級ばかりがヒットした。25日には、天候不順で順延されていた、ルアーのトップゲーム限定のシイラ釣りイベント「てっぱつドルフィン・フェスティバル」を開催する。暑い夏のページはこれからが本番だ。

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時計の針は6時30分を差していた。共栄丸は、午前5時出船。たった90分で乗船した16人全員がシイラを釣り上げていた。しかも、ほとんどが1メートル以上だった。

富浦「共栄丸」笹子宏宣船長 今季最高の獲れ高ですね。7月1日にマダイからシイラに切り替えたけど、梅雨が長くてシイラが絶滅したんじゃないかぐらい姿を見なかった。でも、その時期からシイラ船を出していて、今夏の傾向がなんとなく分かってきた直後だった。何ごとも積み重ねなんですね。

今夏の傾向。

東京湾口に限らず、猛暑を迎えると、海面にはクモの巣状に潮目が広がっていく。その無数に枝分かれする潮目に浮きゴミがたまり、その陰で小魚が避暑目的で集まってくる。シイラにとっては絶好の食事どころだ。大きな潮目の方が獲得チャンスが膨らんでいく。しかし、目立つ潮目ではなく、細い潮目にシイラがつく-それが今夏の傾向なのだ。

取材日は8月4日。共栄丸には大野真弘さん(59)をリーダーとする16人が乗り込んだ。大野さんは君津市で居酒屋「福々」を経営していて、毎年8月、常連客とマイクロバスで訪れている。

大野さん マイクロで押しかけるのも、かれこれ15年。私は、もともとブラックバスをやっていて、シーバスから自然の流れでシイラにいきついた。共栄丸さんは乗るのは20年以上になるかもねぇ。

この日は最大は大野さんの長女寛菜(ひろな)さん(33)で121センチだった。約5メートルの柱が浮かんでいて、その近くにトップペンシルをキャストして巻いたらガツン! 30分ぐらいファイトして釣り上げた。

寛菜さん 大きいシイラ、気持ちいい。引ったくられる感じがたまらなくいいですね。あー、でもこの子は強かった。楽しー。

シイラ船の醍醐味(だいごみ)は、なんといっても探索にある。ゆっくりと船を流し、乗った全員で360度を警戒する。ちょっとした海面での揺れ、海鳥の飛び方、魚の跳ねた跡などをつぶさに観察する。ヒットさせて釣るだけではない。全員でどこにシイラがいるか見つけ出す冒険チックな事前作業が、釣る気持ちをかき立ててくれるのだ。

ルアーの鋭いフックは凶器にもなる。後方に人が立っていてもケガをさせるような事故にならないようにアンダーハンドでキャストする。フックも返しをつぶしたバーブレスにしておけば、仮に人体に刺さってもすぐに抜ける。釣りは安全第一だ。

海なし県の栃木・真岡市在住の中川和久さん(44)は初めてのシイラ釣り。ブラックバス、トラウトなどは経験があるが、まったく異質な釣りにハマってしまったようだ。

中川さん ルアーを投げたら、エメラルド色の影が走ってきて引ったくられる。すごい衝撃。シュモクザメやイルカ、ゴンドウクジラも間近でみることができた。水族館よりスゴい。

シイラ探索を終えて富浦港まで戻り、最後は港近くでタチウオを狙ったりした。25日「てっぱつ」はトップだけだが、共栄丸のシイラ船なら、その日の状態で縦方向の釣りもするので、メタルジグも忍ばせておくといいかも。

てっぱつは当初、7月28日開催だったが、天候不順で8月25日に順延となった。どうやら、日程が延びたことで楽しいシイラゲームができそうだ。【寺沢卓】

▼船 富浦「共栄丸」【電話】090・7244・0460。シイラの乗合船は午前4時30分集合、正午納竿で、氷付き1万円。

▼てっぱつドルフィン・フェスティバル 8月25日(日)開催。受け付けは午前4時30分から千葉・富浦港。参加艇は共栄丸、勝山「宝生(ほうせい)丸」、保田「村井丸」。参加費は1万3000円(乗船料、保険料含む)。ラインはPE2号かナイロン16ポンド以上、リーダーは50ポンド以上を1・5メートル。フックはバーブレスで潜るルアーは使用できない。アンダーハンドキャストで統一する。てっぱつ関連の問い合わせはサウスエンド【電話】0470・23・8827。