福井・九頭竜川 アユ釣り選手権、楠本選手V2

決勝戦の荒瀬で大アユを次々引き抜いていく楠本選手

<第43回G杯争奪全日本アユ釣り選手権>

「第43回G杯争奪全日本アユ釣り選手権」(主催・(株)がまかつ)が5、6日、福井・九頭竜川で地区予選を勝ち上がった48選手(シード、推薦を含む)が参加して行われた。決勝戦は五松橋上流の荒瀬で午前11時半から1対1で対戦。上、下流を1時間交替で釣り、楠本慎也選手(九頭竜川)が背バリの引き釣りで激流を攻め13匹(オトリ2匹込み)追わせ、谷川光之選手(興津川)に5匹差をつけて快勝。13年(和歌山・日置川大会)に次ぐ、V2を達成した。3位には、田嶋剛選手(推薦)が入った。【近江康輔】

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楠本選手が豪快な荒瀬釣りで谷川選手をねじ伏せた。今年の九頭竜川はアユの型がよく、すでに25センチ超が追っており、タックルの差が勝敗を分けた。決勝戦は五松橋上流の荒瀬。開始直前にダム放水があり、流れが一段と強まるなか、楠本選手は様子見で上流エリアへ。谷川選手は野アユの魚影が濃い下流へ入った。

両者ともに、なかなかオトリが替わらず、開始約30分に谷川選手が大きく竿を曲げるが、激流にもまれ、痛恨のタカ切れ。仕掛けの作り直しに手間取り、前半残り15分間で瀬脇を攻め、連発させるがタックルが弱く限定的な釣りに留まった。

そんな様子を上流から見ていた楠本選手が、場所替わりの後半戦で猛攻。狙いの瀬脇は釣り切られていたが、3分の2はサラ場状態。勝負とばかりに荒波の大石周りを根掛かり覚悟で引くとガツーンと鈎掛かり。真っ黄色な20センチ超が次々掛かり「これなら勝てる」と確信。谷川選手は後半にもタカ切れ。結局、13匹対8匹で楠本選手が快勝した。

楠本選手は8年ほど前からトーナメントを通じて九頭竜川に通っており、地元の知人も多く情報量はたっぷり。G杯3勝(92、03、06年優勝)を誇る福田眞也審査委員長からも「彼は九頭竜川をよく知っている。タックルのセッティングも素晴らしい。準備勝ちの見事な戦いだった」と称賛の言葉が贈られた。表彰式では真っ黒に日焼けした顔をほころばせ「ここ数年、上位には入るが、なかなか勝てなかった。力技で勝ててうれしいです」と2度目のG杯獲得の喜びをかみしめた。

楠本選手は夏場は仕事を休んで友釣りに没頭するストイックなトーナメンターで努力を積み重ねることが信条。「アユの友釣りは努力すればするほど上手くなる。これからもトーナメントを通じて技術を磨いていきたい」と飛躍を誓った。

次は連覇、V3への挑戦が待っている。「最多優勝回数記録を持つ福田審査委員長、小澤剛氏(09、11、12年優勝)と並べるように頑張ります。来年は天然そ上の状況によっては数釣りになるかもしれないが、状況にマッチした道具立てでしっかり練習して臨みたい」。アユ釣りを愛し、ひたむきにテクニックを磨く楠本選手がG杯の歴史を塗り変える日がくるかもしれない。

▼2位・谷川光之選手 自信のある糸で2日間トラブルがなかったのですが、決勝で2回もやっちゃったって感じです。タカ切れした時点でびびって荒いところを狙えなかった。来年は切れない糸を研究してリベンジします。

▼3位・田嶋剛選手 全国大会は8年ぶりぐらいですがトーメンターの心意気、迫力、試合慣れした動きが見事だなと思った。3位決定戦はポイントを見た瞬間、俺の釣り場だらけだと思った。試合を忘れて夢中で釣りまくりました。

◆楠本慎也(くすもと・しんや)1974年(昭49)4月17日生まれ、45歳。田辺市在住。自営業。アユの友釣り歴30年。所属クラブなし。ホームは和歌山・日高川の龍神地区。G杯全国大会出場は11回。今大会のほかにも、13年37回大会(和歌山・日置川)で優勝。

◆大会メモ 5日の予選は48人が4組(坂東島の上下流、北島、飯島地区)に分かれ、4試合(1試合90分)戦い、オトリ込み8匹の早掛け(1位12ポイント、2位11ポイント、3位10ポイント…)を競った。各組の合計得点上位2人が決勝Tへ進出。6日の決勝Tは抽選で対戦相手が決まり、1対1のノックアウト方式でオトリ2匹を含む総匹数を競った。準々決勝(谷口地区)、準決勝(坂東島地区)は前半45分、後半45分で対戦。順位決定戦(谷口地区)は90分戦った。決勝戦(五松橋上流)、3位決定戦(同橋下流)は前半60分、後半60分で上、下流を交替して戦った。