東京湾 須田さんV「てっぱつ」107cmシイラ

優勝した須田さん。唯一メーター超の107センチを釣った

<ママも一緒に! 家族で釣り>

8月25日、大きな魚を釣る大会がありました。その魚はシイラ、といいます。ギラつく太陽の似合う鮮やかなグリーンの美しい魚。ルールは簡単で、沈まないルアーを使ってシイラを誘って食いつかせる。1匹の大きさで競いました。釣った場所は東京湾の入り口です。こんなに大きくて、キラキラした魚が泳いでいるんです。千葉の方言で「大きい」を「てっぱつ」ということを覚えておいてください。

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魚ヘンに「暑」と書いて「丶」を加えると「鱪」=シイラという漢字になる。そう、シイラは猛暑の使者なんです。

今年は7月中旬までブルブル震えるような雨の日が続いて、なかなかシイラに遭遇するチャンスは訪れなかった。

思い出してください。それでも、8月に入ると手のひらを返したような連日の猛暑。本当に暑かった。不思議なもので、気温がグングン上昇すると、海では陸地から離れた沖である現象が起きます。

潮(海の流れ)がぶつかって、海面にクモの巣のような筋が描かれるのです。これを潮目といいます。その潮目にプランクトンが発生して小魚が寄る。シイラも自然と潮目沿いに群れが集まってきちゃう。

潮目には沖を漂流するいろいろなものが集結します。その浮遊物の影に注目してください。シイラはその浮遊物に隠れて獲物を狙っているんです。

タイミングよくルアーを浮遊物の近くに打ち込めたら…シイラがバクン!

シイラ1匹の長さを競う大会が8月25日に開催されました。

「第18回てっぱつドルフィンフェスティバル」

この「てっぱつ」は前述の通り、房州弁で「大きいもの」を指していて、英語でシイラはドルフィンフィッシュなので、こんな名称の大会です。

もう今年で18年連続で開催されていて、初心者でもシイラ釣り体験をしながら競技ができるちょっと変わった、ルアーのシイラ釣り大会なんです。保田「村井丸」、勝山「宝生(ほうせい)丸」、そして本部となった富浦「共栄丸」に計51人が乗り込んだ。

シイラは本当にきれい。体色はエメラルドグリーンでキラキラ。青い海面に緑の筋がシャー、と走ったら、それがシイラの魚影だ。シイラ狙いの船は参加者みんなが目を光らせてエメラルドの魚影を必死で探すんです。

ルアーを投げて釣れた人は、シイラが走る方向に船の中をぐるんと回る。そのときは他の参加者は、その掛けた1匹をキャッチするために釣りをやめて応援に回る。シイラ釣りは船全体のチーム戦。だから、楽しいんです。

「てっぱつ」の計測ルールは、シイラの下顎(あご)から尾ビレの谷になったところまで叉長(さちょう)とする。70センチ以上が表彰対象になるが、昨年は最大が67センチで表彰対象者はいなかった。大会規定では優勝者に1年間保持できるチャンピオンベルトが贈呈されるが、この1年は本部が預かっていた。

そして、今年の優勝魚は107センチだった。尾の先までなら124センチ、やややせていたが立派で美しいシイラだった。腰にベルトを巻いたのは宝生丸に乗り込んだ須田健太さん(30=豊島区)で、参加は今年で4回目。2年前は78センチを釣っていたが、2センチ差で4位だった。初参加でもワラサを釣って本来は外道賞をもらえたはずが、表彰を忘れられていた。「ちゃんと表彰されてうれしい。しかも優勝。友人の和田俊也くんが寄せたシイラを僕が投げたらそのマヒペンを食って奪い取ってしまった」と、隣の和田さんにペコリ。

共栄丸に乗船していた鈴木俊太さん(31=江東区)は「叉長は90センチだけど全長なら1メートルを超えました。初のメーター以上で興奮しています」。同じく共栄丸に乗った6年前の覇者川名俊幸さん(44=館山市)は3位で「来年は優勝してベルトを巻く」とメラメラと燃えていた。

とはいえ、釣れても、釣れなくても楽しいシイラ釣行、乗合船を出す共栄丸では8日までシイラを狙っていきますよ。【寺沢卓】

◆成績(シイラ1匹の叉長、参加51人) (1)宝生丸(以下「宝」)・須田健太(30=豊島区)107センチ(2)共栄丸(以下「共」)・鈴木俊太(31=江東区)90センチ(3)共・川名俊幸(44=館山市)85センチ(4)村井丸(以下「村」)・大野友嗣(48=越谷市)84センチ(5)村・村長宏和(42=君津市)82センチ(6)共・野村浩司(41=江東区)80センチ(7)共・植田賢一(46=松戸市)78センチ(8)宝・押田正幸(47=江戸川区)77センチ(9)宝・田丸新一(55=富津市)75センチ(10)共・鈴木創(43=君津市)73センチ(11)村・武村直人(47=越谷市)72センチ(12)共・佐藤淳(32=品川区)70センチ(敬称略)

▼船 富浦「共栄丸」【電話】090・7244・0460。シイラ乗合船は午前4時30分集合、氷付き1万円。9日からはコマセマダイに切り替わります。

保田「村井丸」【電話】0470・55・1121、勝山「宝生丸」【電話】0470・55・2777。