千葉・南房総マダイ五目が面白い 素人さんも大歓迎

やっぱり本命。この日鵜澤さんはマダイ4匹

朝の寒さが心地いい。ようやく秋ダイらしくなってきた。千葉・南房総の吉浦「八平丸」(鈴木篤幸船長)では、水深30~50メートルで狙うコマセを使ったマダイ五目が面白い。浅場での勝負なので、素人さんでも大歓迎、きっと何かが釣れてしまう。取材日にちらっと横を見たら、ええ~、日刊釣りペン・クラブの磯釣りマスター鵜澤(うざわ)政則さんが座っていた。鵜澤さん、きっちり5魚種釣っていましたよ。

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ビックリだ。チラリと隣の釣り座に首を向けたら、鵜澤さんがニッコリ笑ってVサインをしていた。

鵜澤さん 偶然なんだよ。朝来たらさ、ツルツル頭がいるんで笑っちゃったよ。面白いから船長には内緒にしてもらって隣同士にしてもらった。驚いたか!

磯の重鎮で、怖い印象だが、常にダジャレをとばし、ふざけている。特にビギナーに優しくて、釣り方の説明も専門用語を並べることもなく、分かりやすく解説してくれる。しかし、何で船釣り?

鵜澤さん 外房に自宅があるから、海岸沿いを南下すればここ(吉浦港)に着いちゃう。船に酔わないし、船長は魚の釣れるポイントに案内してくれるし、船釣りは大好きなんだよ。

ちょうどいいや、秋のマダイ五目のコツを聞いちゃえ!

磯場では、何度も一緒に取材をしてきたが、船釣りは初。超新鮮だ。吉浦は港を出てすぐポイントが点在する。しかも水深30メートルでマダイ釣り、コマセを入れるカゴも60号で、ハリスの長さも6メートルと短い。コマセマダイのLT(ライトタックル)ともいえる。

鵜澤さん 八平丸は浅いポイントを狙うから魚の活性がすぐ分かる。第1投は、海底からちょっと浮いたぐらいでコマセをちょっと多く振る。久しぶりのご飯だから、この1発目で海の様子が分かる。

これで掛かったのはイナダ&ワラサ。千葉県に大きな被害をもたらした台風だが、エサになる小魚も引き連れてきたらしく、青物が絶好調。ショッコと呼ばれるカンパチの幼体、ヒラマサもヒットする。イナダも脂乗りがよく、刺し身でもおいしいので、ここはしっかり釣っておきたい。

鵜澤さんが盛んに首をひねっている。

鵜澤さん ハリを鋭くスパッと切られちゃう。フグだな。こんなときは…。

取り出したのは黒いハリ。

鵜澤さん フグは金色のキラキラしたハリだと寄ってくる。だからつや消しの黒のハリで地味に釣るといいんだ。

ツンツン突いてくるアタリを見事にとらえた。カッターのような歯を持っているウマヅラ。ハリ切りの犯人かぁ。

鵜澤さんがハリにオキアミを花びらのように刺している。そりゃ、やりすぎじゃないの?

鵜澤さん 磯釣りでは、活性の低いときに使う手段。いつも使えるわけでないけど。ほら、きたよ!

スゴい、マダイだった。ポイントは水深50メートルに。再び仕掛けを投入したが、ありゃ、海面から20メートル前後で何かに当たった。鵜澤さんが巻き上げると深海魚のチカメキントキだった。

鵜澤さん こういう偶然はうれしいね。キンメダイよりも上品な脂で煮付けなんか最高においしいね。

誘いを入れていた。マダイではサオを両手で持って、50センチから1メートルぐらいサオ先を上下動させる。この動きでガツンとくる。でも、鵜澤さんはロッドキーパーを支点にして5~10センチの上げ&下げだった。

鵜澤さん 活性が低いし、マダイの大きさを考えると5センチだってすごい長さ。魚の気持ちになって考えてみよう。

結局、マダイ4匹でこの日の八平丸のサオ頭。最後のマハタで5種の魚を釣り上げた。ちなみに「五目釣り」とは、五目そばと同じでたくさんの魚が釣れるという意味。

鵜澤さん 1度、吉浦に来てください。いろんな魚がいるから。もしかしたら鵜澤に会えるかもしれない(笑い)。

さあ、鵜澤さんに会いに…じゃない、楽しいマダイ五目船で南房を満喫してくださいネ。【寺沢卓】

◆吉浦「八平丸」【電話】04・7096・0062。マダイと秋旬魚の五目釣りは午前5時集合、コマセ&氷付きで1万1000円。3時間1万円の午後便(3人~出船)もあり。要予約。