宮田シェフのフレンチで頂く外房・大原のオニカサゴ

宮田シェフはオニカサゴのブイヤベースとサバのポワレを同時に仕上げていく。その様子を動画撮影するタコボウズ記者(撮影・斉藤真美さん=料理も)

<パパかっこいい! 大人の釣り>

オニカサゴをフレンチでいただいたら、どうなるんだろう? 根魚の王様のような存在だし、毒を持つヒレを干して熱かんにひたしたら超絶品と評される。大原「力漁丸」(中井聡船長)の定番になっている「木曜の鬼退治」に乗船してきた。エサとしてまずサバを釣るのだが、このゴマサバも脂乗りがよくてポワレに、そして、メインのオニカサゴはブイヤベースとなり、ごちそうに大変身した。

フランス料理のイメージは?

24日、東京・築地魚河岸3階スタジオで「釣った魚でフレンチ教室」を実施した。先生の宮田宏樹シェフ(39)は「みなさん、フランス料理を難しく考えている。とても簡単。それを知ってもらいたくて、今回この教室を開いた」とにこやかに話してくれた。

釣った魚は21日の東京湾のアジ、そして教室前日の23日に大原「力漁丸」で仕留めてきたオニカサゴ、ユメカサゴ、カンコ(ウッカリカサゴの大型の房州弁)、ゴマサバ。その他に宮田シェフが築地魚河岸1階の仲卸店舗で購入してきたエビとアサリ、そしてニンジン、タマネギ、セロリなどの野菜を食材にした。

この日は生徒13人にはアジ&サバを3枚におろすことをしっかり覚えてもらい、その後の調理は宮田シェフが実演するスタイルにした。アジ&サバはポワレ、オニなどの底魚はブイヤベースにした。ブイヤベースは魚介の煮物とかスープの意味だろうが、ポワレ、って何だ?

宮田シェフ フライパンを使った焼きものをポワレといいます。なんかシャレた感じの言葉ですよね。だから、私は分かりやすいように「焼きもの」といいますね。

フランス料理と構えてはいけない。素材の良さを引き出して軽く風味をつけるのが宮田シェフ流のフランス料理だ。参加者からは「ブーケガルニって、余った香味野菜の茎とかをタコ糸でしばればいいんだ」「茶こしで小麦粉をふると均等に薄く掛かるんですね」「火加減の繊細さが大事だと分かりました」「フレンチ、想像以上に簡単でした。また、この料理教室やってほしいなぁ」などとの声が上がった。

具体的な料理方法は各所にヒントをちりばめました。そこから推察してください。もちろん、おいしかったですよ。参加者も釣りや料理業界の有名な方々も出席していましたが、今回は内緒です。公表するのもやぼですからね。

さて、実際にオニカサゴを釣るにはどんなエサが必要なんだろうか?

釣り人の好みもあるが、イイダコ1匹掛け、ヤリイカのエンペラ(先端の三角形部分)、サーモン切り身、アナゴのびろんと長い切り身などさまざまだ。

力漁丸ではオニカサゴを釣る前、「フラッシャー」というバケ(飾り)の付いたハリ5~7本でできた胴突き仕掛けを海中に没して、まるまるとしたゴマサバを釣り上げてエサとする。フラッシャー仕掛けにはエサを付けないため、オニカサゴ船には料金内に氷はついているが、エサはない。釣り場で調達して、オニ退治にいくのだ。水深150メートル前後の海域、海面から50~80メートルの深さでサバがほぼすべてのハリにヒットする。3投もすれば、エサには困らない。しかも、このサバはオニカサゴのエサ用ではあるが、人間さまが口にしても、もちろんおいしい。なので、教室にも持っていった。

サバは3枚におろして、半身の肉をそいで、皮だけに。縦に3等分して、細長いヒラヒラにする。海中で漂い、潮に流され不規則にヒラヒラしてオニカサゴにアピールするのだ。サバエサはオニカサゴと勝負する深海の150メートルで食欲をそそることも大事ではあるが、視覚的にいかにアピールできるかが重要なのだ。

オニカサゴは大きめの片天ビンを使って、2~3本バリでアタリを待つ。オモリはサバもオニも200号。オニに食わせるには置きザオではなかなかヒットしない。サオを手に持って、常に“底トントン”の状態を保つ。150メートルの底面は真っ平らではなく起伏に富んでいるため、置きザオではときおり5メートル以上も底から離れてしまう。なので手持ち釣法は有効なのだ。

大きな赤オニばかり。この日はタコボウズ記者(寺沢です)を含めて6人で、最多で6匹が2人。タコボウズ記者も2匹釣って、船中では24匹のオニが釣れた。大漁だった。大原沖の大きな赤オニ、面白いですよ。【寺沢卓】

◆築地魚河岸3階「魚河岸スタジオ」 料理教室としての利用では、築地場外市場での食材購入が条件。利用は午前9時~午後2時、平日は1万2000円、土曜は2万円。その他、商品展示会、試食会、セミナーなども可能。問い合わせは【電話】03・3541・9444(午前9時~午後3時、休市除く)。

◆外房・大原「力漁丸」【電話】0470・62・0575。オニカサゴ乗合は毎週木曜出漁、他の曜日も人数が集まれば出船します。氷付きで1万2500円。別船でヒラメ。要望あればテンヤマダイも。