東京湾 哀川翔マダイ2キロ弱良型に今年もいいね

釣ったぜ、キレイなサクラ色だ

<ママも一緒に! 家族で釣り>

東京湾と駿河湾で今月14日から72日間のマダイバトル「マダイダービー」がそれぞれ各4地区での熱戦が始まった。東京湾では「Tokyo Bayマダイダービー」の冠で千葉と神奈川から2地区ずつが参加し、勝山「宝生(ほうせい)丸」でも良型があがっている。ダービー直前に「アニキ」こと俳優哀川翔(58)が宝生丸から釣況調査で内房の海に繰り出した。

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取材調査日は今月10日。勝山港では、ヤリイカの乗合船でどんちゃか盛り上がっていて、この取材のときもヤリフィーバーの真っただ中だった。宝生丸では「ようやく定置網にマダイがへぇって(入って)きた状態。マダイが釣れるかどうか、そこは分からないですよ」と念押しされた。出たとこ勝負の釣行だった。

アニキはこういう状況にとても強い。科学的なデータはないが、釣り取材になると必ず結果を残してくれる。心強い。

港に午前5時30分集合だった。車から降りたアニキは開口一番、こういった。

「移動中にテレビを眺めていたら、オレの誕生日の5月24日に該当する双子座の運勢は、ストレスのたまる1日です、だって。どういうことなのかねぇ」

えっ、これは悪い日なの? それとも、いい日? これも科学的根拠は何もないが、気持ちの中にうすーく暗雲が立ちこめてきた。

「宝生丸」高橋賢一船長は「魚に聞いてみないと分からないよね。時期的には早いけど、出てもおかしくない」と腕を組んだ。

「出る」とは、2~3キロの良型マダイを指している。海には、船長の感じる魚の気配というか、雰囲気が漂っているという。海の色や風向き、潮の流れ、うねりを含んだ波の形状で、魚の様子を察知する。取材当日、その雰囲気が勝山沖にはあったようだ。

するんと勝山港を出て、10分の場所で仕掛けを投入した。タナ(魚の泳層。マダイ釣りでは、コマセカゴの海面からの距離)は80メートルだった。開始早々、アニキの釣り仲間「ヤマちゃん」のサオが曲がった。マダイ釣りの経験はあるが、最近人気の高いタイラバしかやっていない。以前にコマセマダイを1回だけ試したが、10メートルのハリスをどう使えばいいのか分からずに何もできずに終わっていた。

そのヤマちゃんが3キロのマダイを釣り上げた。「船長の指示したタナとおりです。こんなデカいマダイは初めて釣った。コマセで釣れるなんて…感動しました」と震えていた。

アニキには外道のウマヅラが掛かった。「占いのストレスの正体は、これかなぁ。でも、オレ、ウマヅラは肝も好きだし、白身なんて最高にうまいよね」と満足顔で「でも、狙いはマダイ。おっ、この引き込みは本命かな」と軽く合わせてサオを振り上げ、リールを巻いた。

500グラム前後のマダイだった。「巻いていて軽いのが分かった。マダイはマダイだけど、この1匹じゃちょっと寂しいよね」。目はらんらんと燃えてきていた。釣りの終盤になると、徐々にエンジンが掛かってくる。アニキの釣れるパターンに入ってきた。

ここで1キロ前後を釣っていた「海のおじさん」こと木村尚(たかし)さんから付けエサのオキアミがひと握り渡された。「エビシャキ!」に漬けたオキアミだった。やわらかいオキアミの身を締め、配合されたアミノ酸で集魚効果も出るマルキユーの逸品だ。「う~ん、釣れそうだね」とアニキ。その直後だった。サオがしなった。ビュン!

「これはマダイだね。おお、引くねぇ~」と、サオを逆U字に曲げて雄たけびをあげた。タモにすくいとられたのは2キロ弱の良型。両手を天に突き上げて「ヤッター、ヤッター」とアニキ大喜びだ。高橋船長も「ホッとした。翔さんに釣ってもらったのと、そこそこのサイズが出たのと、ヒヤヒヤしたけど、出そうな雰囲気は間違いなかった」と胸をなでおろした。

アニキは2匹だった。「去年の東京湾のマダイはよかった。今年もいいんじゃない。桜が咲くころ、楽しみだよ」と話し「考えてみたら、釣り、ってストレスを抱えながら楽しむお遊び。どうしたら釣れる、こうしたら、ああしたら。『エビシャキ!』を使って活路が見えた。楽しいね、マダイ釣り」と紫煙をくゆらせた。

マダイダービーはこれからが本番だ。【寺沢卓】

▼勝山「宝生丸」 【電話】0470・55・2777。マダイ乗合船は午前6時出船で氷&コマセのオキアミ付き1万円。出船は4月1日から同5時に。

▼Tokyo Bayマダイダービー 3月14日~5月24日。マダイ3匹の重量で競う。期間内なら何度挑戦してもOK。記録は1匹からの入れ替えが可能。東京湾は宝生丸のほか、神奈川の久里浜「大正丸」と八景「太田屋」、千葉は富浦「共栄丸」。初回だけ参加費1000円で、参加賞は日刊スポーツのロゴ付き3ウェイライト。駿河湾の同時期で同じルールとなり、御前崎「博栄丸」、久料「魚磯丸」、戸田「たか丸」、安良里「ふじなみ丸」が参加店となる。詳細は各宿に聞いてね。