永久保存版 町中華の巨匠がつくる簡単絶品アジ料理

町中華の巨匠テルさん。「上海」ではテークアウトのおいしい弁当を600円で販売している

<釣りをしようよ!!>

誰もが大好きなアジ。初心者からベテランまで釣りはもちろん、焼いても、フライにしても、刺し身でも、原形を残さずたたいてもおいしくいただける。ちょっとレシピのレパートリーを広げてみませんか? 横浜・山下橋「広島屋」で釣ったばかりのアジを船宿から歩いていける町中華の巨匠にやっつけてもらいました。紹介するのは永久保存版の2品でぇ~す!

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アジ、ってうまいですよね。イワシと並んでもっとも日本人に好かれている魚かもしれません(統計データはありませんが)。でも、読者のみなさんのアジレシピ、ってどのくらいありますか?

タコボウズ記者(寺沢です)も考えてみた。釣った魚ならば、刺し身、ちょっとさばきに失敗したらそのまま包丁で細切れにしてタタキ、そのまま塩&みそ&ちょっとのしょうゆでナメロウ、そして焼いたらサンガ焼き。塩焼き、フライ、天ぷらまでは頑張れると思います。そこで、今キーワードになっている町中華の巨匠に相談してみました。

横浜市新山下の中国料理「上海(しゃんはい)」のテルさんこと千葉輝男店主(58)です。初代の父鐡郎(てつろう)さんは横浜中華街の名店「華勝楼(かしょうろう)」(16年閉店)で1970年代に料理長だったという。

テルさんは「おやじの料理の腕はすごかった。当時の中華街の厨房(ちゅうぼう)は中国人以外に入ることが難しくて、ましてや有名店の料理長なんて日本人では初めてだった」と教えてくれました。その遺伝子を受け継いだのがテルさんです。

町中華の巨匠だけに強い火力で、ジャーと料理するのかと思いきや、登場したのはカセットこんろとフッ素樹脂のフライパン。

テルさん だって、おうちで簡単料理ならカセットこんろでしょ。それにウチの店、調理場は狭いんだよ。

照れてマスク越しに笑うテルさん、三枚におろしたアジ(塩&コショウで下味付き)に小麦粉をまぶして、溶き卵で衣をまとわせた。カセットこんろは中火、油を敷いて、次々に衣付きのアジを皮めから焼いていく。

テルさん ピカタですね。溶き卵に粉チーズを入れたら洋食だけど、中華だから餡(あん)を塩味風味にしてみましょうか。

アジが両面こんがり焼けたら、皿に並べた。

テルさん あのね、フライパンは洗わない。このピカタを焼いて残った油が最高の調味料なんですよ。

さらに油を足して弱火。トウバンジャン、チューブのニンニクとショウガを投入してひと煮立ちさせて、細く切った玉ネギとニンジンを炒めて、お湯でといた市販の鶏がらスープを入れて、塩、砂糖、うま味調味料に料理酒も加える。

テルさん フライパンを火から離して、ぬれふきんの上に乗せて、水溶き片栗粉を回し入れする。予熱だけできれいにダマにならずにとろみをつけられます。

最後に火に戻して軽くごま油を回し入れして、アジの上に餡をかけて、色目でパクチーなどを添えると美しい。

あら、簡単。で、テルさん、2品目に取りかかる。

テルさん これね、材料を混ぜるだけ。アジキムチね。何しろ、味付けいらず。だってキムチが調味料だから。全部チャック付きのビニールの袋に入れて、ちょっともんだら、冷蔵庫で3時間以上漬けてください。これでできあがりです。

そのまま炊きたてご飯に乗せてもいいし、野菜と一緒に焼いてもいい。鍋にぶち込んでもおいしい。

テルさん 魚釣りができなくても、アジならスーパーにも刺し身用が売っているから、それでつくってみてくださいね。刺し身になっているならさばくこともないからね。でもね、釣った魚で調理するとうまいんだよ。

「上海」は、広島屋から本牧方面に歩いて5分。ランチでは600円のテークアウトの弁当もつくってますよ。

さあ、巣ごもりのアジレシピ、作ってみてくださいね。【寺沢卓】

◆アジピカタ材料(4人分+おまけ)

アジ2・5匹(三枚おろし・5枚、塩&コショウで下味をつける)

油・小麦粉各適宜

卵1個

・餡用材料

トウバンジャン、ニンニク・ショウガ・ごま油適宜

玉ネギ1/4個

ニンジン半分、パクチー

鶏がらスープ300cc

塩、砂糖、うま味調味料、料理酒、水溶き片栗粉、ごま油各適宜

◆アジキムチ材料(4人分)

アジ4匹(三枚おろし)玉ネギ、ニンジン、キムチ各500グラム

ニラ適宜料理酒、ごま油適量