実釣編 オトリアユの付け方から取り込むまでです

上飛ばしで野アユを追わせる(19年、和歌山・日置川で撮影)

<鮎の友釣り始めませんか!!>

おうちでアユの友釣りを勉強しよう。ラストはオトリアユの付け方から、取り込むまでの実釣編。トロ場の泳がせ釣り、平瀬の引き釣りや、ダイレクトに大石の周りを攻める止め釣りを解説します。新型コロナウイルスも、感染の拡大が収まりつつあり、ようやく明るい兆しが見え始めていますが、油断は禁物。もうしばらくはステイホームでイメージトレーニングを繰り返してください。きっと、実釣で役に立ちますよ。【日刊FPC・下田成人】

ナイロンやフロロカーボンラインを使った泳がせ釣りはトロ場(流れのゆるいポイント)で有効な釣り方です。まず川下に立ち、竿を立てて糸をたるませます。これをオバセといい、糸が水流を受け、その抵抗に逆らってオトリが上流へ泳ぎます。糸を大きくたるませると勢いよく泳ぎ、小さくするとゆっくり泳ぎます。竿を左や右に寝かせると、泳ぐコースを変えることもできます。

このように強弱をつけながらオトリを上流へ泳がせるとその途中で縄張りアユがいれば、目印が一瞬止まって一気に走る心地よいアタリが出て野アユが掛かります。これが上飛ばしといわれる泳がせ釣りです。

また、目印の動く速さが変化するようなアタリは出るが、掛からないときにはオトリを引き戻して再び泳がせることを繰り返してください。これらの操作ができるようになるとナイロンよりも比重のあるフロロカーボンラインを使い、深場や根ズレが心配な場所を同様に探ってみてください。

さらに、慣れてくれば複合メタルライン(比重はフロロとほぼ同じ)を使った泳がせ釣りにもチャレンジするといい。このラインは金属系で細いため、ラインに水流の抵抗をもたせることは難しいです。

それでも、目印を水中につけることで抵抗をもたせてオトリを上流に泳がせたり、オトリの鼻先を少し持ち上げることで、逆方向へ泳がせて縄張りアユを追わせることができます。

次に引き釣りですが、こちらは、人頭大以下の石がたくさん入った平瀬などで広範囲をテンポよく探るのに適しています。逆に大石が点在するような瀬は引きづらいので不向きです。ラインは水の抵抗が少ないメタルラインや複合メタルラインが最適です。

オトリを下流へ入れ、竿を寝かせ、竿とラインの角度が45度になるまで引き上げてアタリを待ちます。狙うポイントは石の色にもよりますが、手前の筋から流芯、対岸の筋へと探るといいでしょう。

注意点はオトリがいやがるときには無理矢理、引かないこと。流れが強すぎるか、オトリが弱っている場合なので、少し流れの弱い筋に狙いを切り変えて探ってください。

また、流れがきつくてオトリを沈めにくい場合には背針やオモリを使うのが効果的です。背針のコツはオトリが潜りすぎないようにすることです。ハナカンとアユの背中の角度が90度になるぐらいにセットするのがちょどいい。

オモリは、いきなり重たいものを付けるのではなく、軽めのものから使い、足りなかったら追加していくといいでしょう。そうすることで根掛かりが少なくなります。また、オトリが野アユに追われて、逃げる動きが激しすぎるときにもオモリを使って動きを抑えます。背針もオモリもオトリが弱る前に使うことが大事です。弱ったオトリでは野アユに見切られてしまい、効果が半減します。

最後は止め釣りです。これは引き釣りが出来ないような大きな石が入ったポイントで、ダイレクトに石周りを探る場合に適しています。大石の上手に立ち、石の後方(流れの緩み)にオトリを入れ、石の横を引き上げては止めてアタリを待ちます。縄張りアユがいればすぐに追ってきます。

これが出来るようになれば、大石の頭(流れがダイレクトに当たるところ)を狙うことを練習してください。水当たりのいい石の頭には最良のコケが付くので、コンディションのいい野アユが付いていることが多いからです。オトリの入れ方は石の上手から流し込んで石の頭で止めると、ふっと軽くなるところがあります。そこで、止めて待ってください。思わぬ良型が掛かりますよ。

<ビギナーへ3点アドバイス>

ビギナーの最初の難関はハナカンの付け方です。コツを知らなければ、オトリが何匹あっても弱らせてしまいます。まずタモの中にオトリを入れ、上からオトリを軽く握ります。このとき、腹部は特に嫌がるので、小指と薬指はそえる程度にしてください。そして目を親指と人指し指で押さえるとおとなしくなるので、すっとハナカンを通します。オトリが嫌がったら1度離してやり直すといいでしょう。元気なアユは黒っぽくてぬめりがあります。白っぽくなったり、黄色っぽくなり、ぬめりがなくなってくると弱ってきた証拠です。

ポイント選びは石の色を見極めることが大事。川に入る前に橋や土手から、偏光グラスで川をよく観察し、追いアユの姿が見えれば、そこの石色を覚えておき、川に入ったときに同じような石を狙います。他にも、へちに腐ったコケが付いた石があれば、そのコケを取り除き、その下の石色を確認します。それが、野アユがコケを食べている石の色ということです。

野アユが掛かったあとのやりとりは、まず逆針が切れるのを待ちます。そして頭上に竿先が来るようにしっかりと竿でためを作り、オトリが水面に出てから引き抜きます。竿を倒したままで引き抜くと勢いがつきすぎて受け止めにくくなります。特に瀬では掛かりアユが自分の立ち位置から正面の下流に来るまで待ってから取り込んでください。対岸のアユを無理矢理引き抜くと、バラシやラインブレークの原因になります。