＜釣りをしようよ！！＞

モデルで女優の利水（としみず）つばさ（29）が東京湾のエサのタチウオに挑んだ。釣り専門チャンネル「釣りビジョン」でも番組を持つつばさの野望は「ツリジョ増大計画」。3年前に仕事でいやいや始めた釣りに徐々に魅せられて、いまや釣りの虜（とりこ）。「目標は、私の指10本の龍神さまを仕留めること」と瞳をランランと輝かせた。さあ、結果やいかに！

大きな瞳を見開いて張りのある声で「私、最初は釣りなんか嫌いだったのに、ねっ」とつばさが切り出した。そうか「のに」ってことは、今は「好き」ってことなんだな。面白い。

釣り具メーカーがスポンサーだったテレビの釣り番組のオーディションを受けた。3年前のことだ。釣りは経験なく、つばさも乗り気ではなかった。ちょっとしたイタズラ心もあって「毛虫のようなエサは気持ち悪い」「魚は触れません」「釣り用語がよくわからない」などと後ろ向きな受け答えばかりしていた。

つばさ　あー、やっちゃったなぁ、これは通らないわ…とか思っていたら、奇跡的に採用されました。そのときは、本気で釣りをするのか、困ったなぁ、と悩みました。

しかし、初めて触れる釣りはとても新鮮だった。管理釣り場でのニジマス釣りからスタートして、氷点下の極寒でのワカサギ釣りや船釣りも体験できた。

つばさ　全然、日常と違う。見るもの、触るもの、すべてが新鮮で、毛虫とかいって邪険にしていたアオイソメも指でつかめるし、ブチッて切っちゃうし。プルルンと手元に伝わってくる魚のアタリなんか、釣りをしなかったら絶対経験できなかったしね。

番組では釣りのプロからも指導を受けたが「君はうまくなるよ、釣りの原石だね。本気で釣りをするならいくらでも教える。スジはいい」とほめられた。

番組出演は5回で終わり、1年ほど釣りとは関係のないモデル業に専念し、東京ガールズコレクションなどでランウエーを歩いてポージングも決めた。人気ドラマ「おっさんずラブ」にも出演した。本業は順調そのものだった。その分、釣りへの思いが募っていった。

つばさ　私の周りは釣りの魅力を知らない女の子ばかり。もっと「ツリジョ」を増やしたい、と思うようになっていたんです。

この「ツリジョ」とは「釣りを楽しむ女の子」の総称だという。そんなタイミングで釣りビジョンから新番組のオファーが届いた。

番組タイトルは「TSURI　na　KIBUN（釣りな気分）」。つばさが進行役となって、釣りとは無関係な友人を誘って釣りをして、ゆる～く楽しんでもらう内容だった。

つばさ　もう、ヤッター、という気分でした。この番組では3回目の放送でタチウオだったの。でも1メートル超は釣れなかった。だ・か・ら、ドラゴンを釣らせてください！

そこでドラゴン捕獲するべく選んだのは久里浜「大正丸」。東京湾でも数釣りでは定評の高い船宿で「数が釣れれば大型ヒット率も高い」理論でチャレンジしてもらった。

この日は投入開始直後から観音崎沖の水深60メートル前後で5～10メートル浮いた層にどうやらタチウオの群れが待ち構えていた。

鈴木喜忠船長が腕を組んで感心した。「つばさちゃん、スゴいね。ちゃんと分かってるなぁ。サオ先の前アタリをつかんでいるから」。タチウオはゆっくり動くサバの切り身を視認すると、下から近づいて「かじって」くる。ここで反射的にサオを大きくあおって合わせるとタチウオはいなくなってしまう。

つばさ　ブルブルというアタリ。ゆっくり合わせるというか、タチウオのやる気を誘うように慌てずにサオをあげたの。へえ、それを聞き合わせ、っていうんですね。

自然と聞き合わせができちゃうなんて…ほどなく1匹目をゲット。その後も順調にシルバーの魚体を引き抜いて、つばさの指で5本、全長で99センチを釣り上げた。終わってみれば8匹を引っこ抜く大活躍。この日の大正丸では119センチ（重さ1・13キロ）が最大だった。

つばさ　やっぱりドラゴンを釣りたい。10匹以上も経験したいしね。でも、タチウオ釣り楽しーなぁ。女の子にこの感動を伝えたいでーす。

目標だった「指10本」は今後の宿題となった。つばさのドラゴンロード、始まったばかりだ。【寺沢卓】

▼久里浜「大正丸」【電話】046・835・0076。テンビンタチウオの乗合船は午前6時15分、東京湾フェリーの発着する久里浜港の大正丸事務所に集合。エサのサバ切り身と氷付きで7700円。沖あがりは午後1時。駐車場完備です。

◆利水（としみず）つばさ　1991年（平3）5月2日、兵庫県生まれ。母親が台湾人で父親が日本人。台湾でも暮らしたことがあるが、5歳から日本在住。大阪学院大在学中にモデル業を始める。好きな食べ物は焼き肉とフルーツ。168センチ、スリーサイズはB84－W56－H86センチ。靴のサイズは24・5センチ。血液はA型。