静岡・熱海 アニキ、アマダイ主体の「8目」達成

アニキ、本命アマダイ確保

<釣りをしようよ!!>

「アニキ」こと俳優哀川翔(59)が、大好きな静岡・熱海「喜久丸」で上向き始めたアマダイ主体の高級魚五目釣りに挑戦した。最初こそ小物の猛襲に苦戦したが、キチンとタナ取りをして誘いをかけたら本命をゲット。このほか40センチ前後の大アジや、イトヨリダイを含めて「8目」を達成した。

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「もう、勘弁してくれよ」。思わずアニキから泣きが入った。仲間4人と正午に出港した午後船の右舷胴の間で、胴調軟調子のサオがしなる。小さなアタリでもしっかり拾ってくれるが、海面に上がってきたのはトラギス、エソに次いで、イワシが一荷。なかなか本命にたどり着けない。

左舷トモ(最後方)ではノブちゃんが、開始10分で同じ2本針にカイワリとトラギスを一荷で釣った。その後もカサゴを掛けたりと、おかずにしてもうまい獲物を確保し続けている。午後1時20分、左舷ミヨシ(最前方)のヤマちゃんが31センチの本命、アマダイをゲットした。これで、アニキのスイッチが入った。

アニキ オモリ(80号)が底に着いたら2メートル巻き上げ、アタリを待つんだな。

タナ(魚の遊泳層)は何メートルだったのか、ヤマちゃんと情報を共有した。同じことを松本早人(はやひと)船長(45)にも確認して、指示ダナ通りに食ってきた。

海底の起伏が激しい熱海沖はこの日、潮の流れが複雑だった。アニキの左手側から右手側だったり、沖から手前だったりと、ポイントに入るたびに流れが変わっている。その都度、仕掛けの流され方も違った。

アニキ 正確なタナ取りが魚を釣るための基本。オモリが底をたたいているのに注意して、しっかりやらなきゃな。

オモリが底を小突くと道糸がたるんだり、しなっていたサオ先が少し揺れる。こうなったら底を取り直してリールを長さ2メートルのハリス分だけ巻き、エサが底スレスレをはうようにする。砂泥地に住むアマダイを誘うためだ。

付けエサのオキアミも大きくした。それまでの中型サイズから、ヤマちゃん持参のLLサイズへと交換した。小ぶりでも身が崩れておらず、しっかりした形のものを選ぶのがセオリー。ただ、今回は小型の外道ばかりにつつかれるため、大きくすることでアピールさせた。

午後1時30分、今までとは違って、グングンとサオ先を絞り込む三段引きが出た。「これは本命だ!」。アニキの心が躍る。38センチのアマダイが掛かっていた。

アニキ やっぱり、基本が大事なんだよな。

移動したポイントでは、松本船長から「下から3メートル」との指示が出た。今度は30~40センチのアジを連釣した。このほか、イトヨリダイ、レンコダイ、終了寸前にはサバと、8目になった。仲間の釣った魚を合わせれば、「チーム哀川」で合計12目。いずれも高級魚ばかりだ。

アニキ 最初はどうなることかと思ったけど、人の言うことに素直に耳を傾けてやってみれば、釣れるものなんだよ。

アドバイスをしてくれた松本船長によると「この海域では50センチ級の良型アマダイも出始めた。20度ある潮温が18度くらいまで下がればチャンスは増す。年末年始から1月下旬にかけてが面白い」という。

「よし、また来るぞ」。アニキはすっかり乗り気になっていた。

アニキが釣ったアマダイやイトヨリダイ、レンコダイは食べてもうまい。アマダイはみそをつけて焼いたり、うしお汁に。イトヨリはバターソテー、レンコは酢漬けなどに向く。

左胴の間にいたスギちゃんが下処理のため、これらの魚のウロコ取りに使ったのは、ペットボトルのキャップ。バケツにくんだ海水で洗ったら、へこんだ部分をウロコに当てて尾から頭へ、こする。ビニールの中などで行えば、周囲に飛び散らずに取れる。

貴重なタナの情報をくれたヤマちゃんが釣ったオニカサゴは、姿揚げにするとうまい。オニは背びれ、左右の腹びれ、尻びれに、触ると激痛の毒トゲを隠し持っている。これらをニッパーで切るといい。しっかり準備しておけば、高級魚はよりおいしく食べられる。

冬場の釣りともなれば、防寒や乾燥対策が必要になる。防寒としては、ネックウオーマーがあると便利だ。なければ、少し厚手のタオルを首からかけるだけでも冷たい風を防げる。首回りの防寒としてはこのほか、市販のおきゅうを後頭部下にある首の出っ張り部分に2枚張るだけでも温かい。衣服に貼れる使い捨てカイロは必需品。同じ気温でも、陸上より海上では寒く感じることもある。風を通さないウインドブレーカーなど、1枚余分に着ておくのもいい。

乾燥や潮風対策に加え、針や魚のヒレが手のひらに擦れたりすると意外に傷つく。「オロナインH軟膏(なんこう)」などを携帯して、帰港後に塗って保護するといい。

▼熱海「喜久丸」【電話】090・5456・8449。午前便は6時、午後便は正午出船。エサ・氷付き1万1000円、貸しザオ(仕掛け付き)2000円、仕掛けの追加は1枚500円。釣り座にはサオ掛け(ロッドキーパー)とテンビン、ビシ、クッションゴム付き。