徳島・鳴門堂ノ浦 ベテランの技光るサヨリ134匹

良型サヨリを抜き上げる松野さん

<カセFISHING>

桜も開花し、いよいよ海釣りシーズンが本格化する4月。ベテランからビギナーまで楽しめる徳島・鳴門の堂ノ浦のかかり釣り場へ先日、出掛けた。潮通しがいいカセではベテランが技を発揮し、サヨリの入れ掛かりを堪能。40センチのサンマクラスも交じり、心地良いウキアタリを楽しんでいた。終盤を迎え、身が太くなっていく今が狙い時だ。また、屋形(筏)でのサビキ釣り&バーベキューもお薦め。これからの行楽シーズンにぴったりですよ。

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サヨリなんて、簡単に釣れると思っている人も多いのではないですか。ところが、なかなかテクニカルで腕の差がはっきり出る面白い釣りなんです。特にカセから延べ竿で狙うサヨリは磯でグレを狙うフカセ釣りと似ていて、足しげく通うベテランたちも多い。

朝イチは潮の流れが緩くて目の前で次々に入れ掛かったが、午前8時すぎから潮の流れが速くなるとさっぱり。ウキにまき餌(ぬかに少量のアミエビと海水を混ぜたものを)をかぶせていくが、数十回流して1匹掛かる程度。

それでも、少し離れたカセに乗った松野隆さん(徳島市)は入れ掛かり。あまりの釣れっぷりに同乗させてもらい、釣り方を観察することにした。刺し餌はオキアミのSS、ヒットパターンは潮の流れが緩くなってウキが止まる、船尾の陰で食わせるというもの。

「船の陰になる部分は流れがゆるいので餌がたまるんですよ」。なるほど。カセという障害物も利用して釣るのかと目からうろこが落ちた。そして午後になり、潮が船先へと流れを変え、風が斜め後方から吹き出すと、風と潮がぶつかる境目に狙いをチェンジ。

すると見事にウキが止まり、まき餌をかぶせると1投1匹で釣れ続く。「磯釣りでいう、潮の壁みたいな状態になっているのかな。カセのサヨリ釣りはこういう感じで、餌がたまる場所を探しながら釣るのが面白いんです」と松野さんがにんまり。タナは1ヒロ半。食い上げがわかりやすい棒ウキを使い、ウキのトップがわずかに浮き上がるとタナを少し浅くしながら釣っていく。食いが渋くモゾモゾした反応が出たときには竿を引いたり、横へ動かす誘いも掛けて食いを引き出し、午後2時半までに26~40センチを134匹の爆釣。松野さん、聞けば、磯のグレ釣り歴が40年の大ベテラン。さすがの潮読みだった。

この日はサヨリのサイズも良く、それぞれのカセで握り応えのあるサンマクラスが多数上がり、常連の片岡真也、莉菜子さん夫妻(善通寺市)も太い40センチを数匹に加え、よく肥えた35センチのマコカレイもゲット。「サンマ級は刺し身にすると甘みがあってとってもおいしいんです」と莉菜子さんがにっこり。

海が穏やかなウチノ海はベテランだけではなく、カップルやファミリーにも人気がある。屋形(屋根、防風シート付き筏)を仲間で貸し切れば、釣った魚をその場で食べたり、バーベキューも楽しめる。みんなで、わきあいあいと盛り上がること間違いなしだ。【近江康輔】

【今後の見通し】カセのサヨリは水温の上昇とともにタナが浅くなり、釣りやすくなって数、型ともに期待できる。もう少しすると、チヌの乗っ込みが始まり、フカセ釣りやエビまき釣りで良型マダイも狙える。また、屋形(筏)では脂の乗ったマイワシがサビキで数釣れ、ちょい投げでは花見カレイも狙える。

【問い合わせ】細川渡船(日刊銀鱗倶楽部加盟店)【電話】090・3180・3960。サヨリ釣り料金はカセ4500円、屋形4000円、子供(小6まで)2000円。出船は日の出(日の出前30分に集合)。BBQセット(コンロ、炭、使い捨て食器付き)1500円。

【交通】神戸淡路鳴門自動車道・鳴門北ICを出て、県道11号で鳴門市街方面へ。ボートレース鳴門前を左折し、同42号に入り、瀬戸町明神の信号を右折。県道182号で堂ノ浦の細川渡船へ。