山梨・西湖 ヒメマス上限30匹続出、ワカサギもシシャモ級2年物

窪さんは28センチを筆頭に制限の30匹を達成

<釣りをしようよ!!>

10月の訪れとともに、山梨・西湖ではヒメマス・ワカサギ釣りが解禁となった。日刊スポーツ指定「白根」(渡辺安司店主=63)では解禁翌日で、初の週末となった2日から上限30匹のヒメマスを確保する常連さんが続出。群れが回遊しているタナ(魚の遊泳層)を見つければ、数を伸ばせる。中には25センチ前後の良型も含まれている。12月31日まで、銀ピカの「おヒメ様」への出合いが楽しめる。

おヒメ様が振り向いてくれた。午後1時前、南西風が吹き始めた。湖面がさざ波立つ。ボートで出ていた釣り人のサオが次々と絞り込まれた。「風が吹いて水がかき回されてエサとなるプランクトンも回り始めたようで、ヒメマスの活性も上向いたのかもしれない」と、渡辺店主は話した。

朝方食いが立ってバタバタと数が伸びたが、午前10時過ぎからパタッとアタリが止まった。快晴無風、ベタナギで気まぐれヒメも「拒食モード」になってしまった。後半になって、再度ゴールデンタイムが訪れた。

物見堂沖でサオを出していた常連の窪範仁さん(46)は、午前中だけで20匹釣り上げた。午後にスパートして、最大28センチを含めて制限の30匹に到達した。「昨年は群れでバタバタと釣れた。2~3点掛けは当たり前だったが、今年は単発。ただし、型はいい」。

市販の仕掛け(6本針、長さ1・9メートル)を2つ合わせて落とし込む。タナを17~20メートルにして誘った。「昨年のタナは10~30メートルのばらつきがあった。今年は10メートルとか25メートルを探ってもダメ。絞り込んで正解だった」。使うサオもひと工夫。「当たった後、しっかり重さが伝わってしなる軟調胴調子がいい」と強調した。

ヒメ初挑戦の石井克二さん(56)は、ふだん海の旬の魚を狙う。「1度やりたいと思っていた。クンクンとアタリが来たと思ったら、フッと食い上げた。アタリの出方がタチウオに似ていたので急いで巻いた」と言う。

同じ初挑戦の鍵和田大輔さん(47)はスピニングリールではなく、LT(ライトタックル)アジ用と、SLJ(スーパーライトジギング)用のベイトリールにPE1号を巻いていた。「1メートルごとにマーカーが付いているから、タナを探り当てることができた。アタリが明確に出て24匹も釣れ、楽しかった」と満足そうだった。

今年でヒメ歴2年目の渡辺美春さんは、水深20~25メートルがアタリダナだと読み切った。昨年1匹だった釣果は今年2ケタに乗った。「引き味はいいし、食べておいしいのが魅力」と笑顔を見せてくれた。

トローリングで水深15メートルを攻めた多田勉さん(61)は、中学・高校・大学の同級生の今井正さん(61)と2人で12匹を確保。早速、湖畔でさばいて食べていた。

西湖の表面水温は19度前後だが、「日光が届かなくなる水深20メートルあたりでキラキラした物にヒメマスは反応する。ちょうどそのあたりで、最も活性が高くなる水温12度前後なのではないか」(渡辺店主)。

9月28日の午前中に地元関係者が行った試し釣りでは、15~26センチが平均で20匹。20センチ台が主力と型は申し分なく、魚影も濃い。紅葉をめでながら、ヒメマス釣りもいかがですか。【赤塚辰浩】

<渡辺店主ヒメマス釣りアドバイス>

◆タナ 基本となるのは水深20メートル。この前後に群れが回遊している。リールに水深計がない場合、メジャーを使って1メートル刻みとかで道糸を出してやるといい。腕を横に目いっぱい広げた長さが1ヒロ(個人差はあるが約1・5メートル)と計算すれば、13回出すとほぼ20メートルとなる。また、仕掛けを底まで落としたらリールを巻き上げ、巻いた数を記憶する。2回目は、その半分の数だけ巻き上げれば宙層で仕掛けを止められる。

◆ボートを揺らす 風や波が少しでもあれば自然に揺れるが、ベタナギなら、自分の体を左右に揺らして仕掛けを上下させると、誘いになる。

◆トローリング サオの角度は45度ではなく、20~30度。少し速めに引くと反応良く食ってくる。ヒメマスは自分の動く速度の3倍のスピードで動く獲物をエサにしているからだ。

◆サオ アタリの取りやすい先調子のサオはバレやすい。マダイやヒラメ用の軟調胴調子で、オモリ負荷30号のサオの方が針掛かりしやすい。

▼釣り宿 西湖「白根」【電話】090・4917・4480。31日までは出舟午前6時、岸着午後5時。11月1日から12月31日は出舟午前6時30分、岸着午後4時。ヒメマスは上限30匹。コマセやワーム、タコベイトは禁止。サオは1人5本まで。仕掛け1枚400円。手こぎボート1人乗りで1日3000円(2人乗り同4000円)。日釣り券は大人1700円、女性と中学生850円、小学生以下は無料。現場売り2200円。https://himetoro.com/

○…西湖では同時期にワカサギも釣れる。「ワカ様」は原則、底狙い。10センチ前後を狙うなら紅白のサシをエサに、5~7センチほどの「タツクリ」サイズが多い場合は、口も小さいので赤虫を使うことが多い。これはほかの湖でも一緒。今から11月にかけて最盛期を迎える。

日刊スポーツ指定の長野・諏訪湖「諏訪湖レジャーセンター」(【電話】0266・53・6540)の場合、ドーム船で長さ4・5メートルのノベザオを使って狙える。オモリを着底させたら道糸を張り、トントンと小突いて頻繁に誘う。これが数を伸ばすコツだ。「今年は全般に2年物の10センチを超えるシシャモ級が目立つ。近年では良型が多い」と同センターでは話す。

また、神奈川・芦ノ湖「うえ乃」(【電話】0460・84・8471)では桟橋前の水深17~20メートルほかで数が伸びている。同じ神奈川でも相模湖「柴田」(【電話】070・3660・6363)は今月3日から狙い始めたばかり。水温次第だが、11月からはハウスワカサギも楽しめるという。

埼玉・円良田湖「管理事務所」(【電話】048・581・8511)は20日から、山梨・精進湖「湖畔荘」(【電話】0555・87・2003)は来月からのスタートを予定している。