神奈川・鶴見でマゴチ釣り 出光仁美“苦手”克服ならず、夢は夢のまま、釣りたかったなぁ~

“苦手”なマゴチ釣りに挑戦も結果は完敗。釣り友の貴重な1匹で撮影。その心中は…

<釣りをしようよ!!>

釣り好き演歌歌手の出光仁美(38)が、神奈川・鶴見「新明丸」(新明利勝船主=67)で、“苦手”と公言するマゴチ釣りに挑戦した。“照りゴチ”という言葉があるように夏が旬の魚だが、新明丸では年間通して出船。厳しい時季に挑戦して1匹でも釣れれば、苦手意識も克服できるはず。そんな思いから、今回の挑戦を企画。見事釣り上げて、苦手克服となるのか? それとも…

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「マゴチに挑戦したいとは言いました。でも、シーズンオフにとは言っていないんですけど…」。極寒に加え、取材当日の午前は強風。餌を付ける手も震える状況だった。そんな中、アタリもなく、ひたすら“耐える釣り”を強いられた出光の口からは、そんな言葉が漏れた。

時は昨年末までさかのぼる。「過去3回マゴチに挑戦しているけど、1度も釣れたことがないんです。来年はマゴチを釣り上げて、苦手を克服したい」。そう目を輝かせ訴える出光。この発言を受け、すぐさま新明丸に連絡。冬マゴチの状況を確認すると、「例年は1月末から2月は厳しいけど、釣れないことはない。マゴチ釣りに苦手意識を持っている方に釣らせたいというのは、自分としても興味があります」。マゴチ船の慶樹船長(43)はそう快諾してくれた。

だが、“10年に1度の大寒波”が計算を狂わせた。「1月10日過ぎころまでは船中40~50匹は釣れていましたが、あの寒波前から釣果が落ち、船中2匹の日もありました」と慶樹船長。果たして、このまま取材を行っていいのか? そう悩んだが、記者の心のどこかにも「1匹は釣れるだろう」という気持ちがあったのも事実だ。

新明丸のマゴチ釣りはサイマキエビを使った餌釣りだが、「80%は餌付けで決まります。タナ取りとアワセは10%ずつ。餌付けができないとスタートにも立てない」という慶樹船長に餌付けのコツを教わり、仕掛けを投入も反応なし。「エビは元気かな?」。回収して確認する出光。エビはまだ足を動かしていた。その後もアタリがない状況が続くと「不安しかないですね…」と苦笑した。

取材当日午前は強風により場所限定となった。だがそこで、出光の釣り友が貴重な1匹、56センチの良型を釣り上げた。その後、「あれ?」と違和感を覚えた出光は「勘違いかな? でも、アワセてみます」でサオを上げるが「違いましたね」。エビを確認すると、背中に食み跡が見られたが、慶樹船長の見立ては「多分イカ」。その後も、「これ来てますよね?」でアワセたが、そこにマゴチの姿はなく、エビの頭だけが残っていた。

「午後はナギ予報。いつもの場所でできれば釣れるはず」。慶樹船長にはそんな思いもあった。風も弱まり、いつものポイントに移動。出光は「さあ、ここからが勝負ですね!」と気合を入れ直したが、結果的にアテが外れた。出光になんとか釣らせようと、慶樹船長が餌付けを担当。「船長が付けたエビは海面をビュンビュン跳ねていたけど、私だとあんな動きをしない。難しい」。その後、おそらくフグにハリスを切られる生体反応はあったが、マゴチの顔をみることはなかった。結局この日は、6人乗船で船中1匹。「ここまで釣れないと逆に気持ちいい。完敗です」と振り返りつつ、「もしリベンジさせていただけて、そのときに釣れたら、本気で泣いてしまうかも…」。壮大な前振りはできた。

一方、慶樹船長は「胃薬がなくなるくらい飲みました」と苦笑。「風裏で釣れたので、いつもの場所なら1~2匹は釣れると思ったけど、1~2年に1度あるかないかの、何をやってもダメなドツボの日だった」としつつも、「いい場所に連れて行けなくてすみません。自分にも、ぜひリベンジさせてください!」とアピールした。

シーズンオフとはいえ、現実は厳しかった。いつの日か出光に感動の涙を!【川田和博】

■船長が教える餌付けのポイント

冬場でもマゴチを狙えるのが新明丸の売りだ。「4~5年前は10月で終了していましたが、ヒラメ狙いで出船してみると、思った以上にマゴチも釣れたので、年間通して狙うようになりました」と慶樹船長。餌となるサイマキエビの確保が課題だったが、そこは新明丸ならではノウハウでクリアした。

餌付けのポイントは「エビの口は前脚の付け根の5ミリくらい先にあって、口の頭寄りに針を刺して、しっかり貫通させる」こと。針が脳に刺さると即死なので注意が必要だ。また、「手早く刺すことでエビも弱らない。脚がシャカシャカ動いていれば餌付け成功だし、付け替えもしなくて大丈夫」と続けた。

また、冬場ならではのポイントもある。それが「水替え」だ。「この時季は外気で、エビを入れている海水がすぐに冷えてしまいます。エビが弱ってしまうので、30分に1回くらいに暖かい海水をくんで、半分は変えてください。エビが横に倒れていたら、それは使わないでください」と話した。

■「3月までは厳しい」船長

マゴチを狙って年間出船の新明丸だが、今後は「例年通りでいったとしても、3月までは厳しい」と慶樹船長は言う。「水温が上がって来る4~5月に上向きになって、トップで4~6匹は釣れると思います。6月は産卵で、全く釣れなくなります。その後、7月中旬あたりから浅場で食い始め、お盆くらいまでがいわゆる“照りゴチ”になります」。

◆鶴見「新明丸」 出船午前7時30分、納竿午後3時。サイマキエビ5匹付き9500円。この時季はスミイカ、フグも毎日出船。※詳細は電話で確認を 090・4600・1225。