フレイルを予防するには、食事からのアプローチが不可欠です。今日はフレイル予防のために知っておきたい食事のポイントをまとめてみました。

 まずは、1日に必要な摂取エネルギーの計算方法です。身長(メートル)×身長(メートル)×22×身体活動レベル★=1日の適正なエネルギー量(キロカロリー)として算出します。

 ★は、身体活動レベルによって低い(22~30)、普通(25~35)、高い(30~38)に分けられます。70歳以上ではそれぞれ数値が下がりますので、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2015年版)」をご参照ください。これから算出すると、50~69歳の「普通」の身体活動レベルの方の場合、男性2450キロカロリー、女性1900キロカロリーが目安になります。

 次に、筋肉維持のために欠かせないタンパク質の摂取量です。厚生労働省の基準によると、30歳以上の男性で60グラム、女性で50グラムが1日当たりの推奨量とされています。代表的な食材では、ゆで卵1個で7・7グラム、鶏ささみ80グラムで18・4グラム、納豆1パックで6・6グラム…意外と少ないなと感じませんか。

 タンパク質は、3食で均等に摂取することが大切です。運動を加えると、さらに筋肉が作られやすくなります。食が細く、摂取カロリーが不足してしまっている場合は、タンパク質がエネルギー源として使われてしまい、筋肉になりませんので気をつけましょう。

 高齢者のご家族がいる場合、食べやすい形態に工夫してあげることが大切です。キッチンばさみを食卓に常備しておくと、お肉なども好きな大きさにカットできるので大変便利です。牛丼でおなじみの吉野家からは、高齢者向けの「吉野家のやさしいごはん」シリーズが販売されています。こういった市販品も、フレイル予防の味方になりますね。

 ◆照山裕子(てるやま・ゆうこ)歯学博士。厚労省歯科医師臨床研修指導医。分かりやすい解説はテレビ、ラジオでもおなじみ。昨年出版した「歯科医が考案・毒出しうがい」(アスコム)は反響を呼び、ベストセラーとなった。近著に「『噛む力』が病気の9割を遠ざける」(宝島社)。女性医師のボランティア活動団体「En女医会」会長。