被災時もできる唾液で健康維持/照山裕子の健康連載

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<防げフレイル!人は口から老いていく(34)>

台風21号の被害に続き北海道での地震。立て続けに起きる自然災害の猛威にはなすすべがありませんが、自らが持つ免疫力で体を守る知恵を身につけていただくことも健康維持には重要です。今回は免疫力の鍵である「唾液」についてのお話をします。

日々の生活で、体内にはウイルスや細菌などの異物が絶えず侵入しようとします。特に皮膚のように角層で覆われていない粘膜は、病原体の侵入を許しやすいといえます。これらの異物を侵入させないように私たちの体を守っているのが「粘膜免疫」です。

粘膜抗体の主役はIgAと呼ばれるタンパク質ですが、特定のウイルスや細菌だけに反応するのではなく、さまざまな種類の病原体に反応する守備範囲の広さを持っているのが特徴です。免疫機能が未発達な状態である生後すぐの赤ちゃんは、母乳にたっぷり含まれるIgAで感染から守られています。特に産後数日間に出る初乳に含まれるIgAの量は最大級で、470~1万2340マイクログラム/ミリリットルもあります。

その他の外分泌液に含まれる濃度は、涙液で80~400、鼻汁76~846、十二指腸313、結腸240~827(単位はすべてマイクログラム/ミリリットル)という具合で、まさに“始まりから終わりまで”全身を守る働きをしていることが分かります。

口の中を流れる唾液には194~206マイクログラム/ミリリットルのIgAが含まれ、特に耳下腺からの唾液は高濃度であるというデータもあります。お口の渇きを感じた際や、すぐに歯を磨けない環境下にある場合は、耳たぶのやや前方、上の奥歯あたりの頬に人さし指を当て、優しくマッサージをしてみてください。力を入れずに指で軽く圧迫するのが唾液腺マッサージのコツです。

◆照山裕子(てるやま・ゆうこ)歯学博士。厚労省歯科医師臨床研修指導医。分かりやすい解説はテレビ、ラジオでもおなじみ。昨年出版した「歯科医が考案・毒出しうがい」(アスコム)は反響を呼び、ベストセラーとなった。近著に「『噛む力』が病気の9割を遠ざける」(宝島社)。女性医師のボランティア活動団体「En女医会」会長。

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