東京家政大学人文学部心理カウンセリング学科の岡島義准教授(臨床心理士・専門行動療法士・産業カウンセラー)に、落ち込んだ気持ちや、へこんだときに立ち直るコツを教えてもらおう。

「臨床心理学の立場からいえば、考えを反芻(はんすう)することはあまりよくありません。反芻というのは、牛が食べ物を反芻するのと同じで、頭の中の考えを繰り返すということです。たとえば、過去に起こったことを思い返すと、『なんであんなことを言われたのだろう、ほんとはこうなんじゃないか』などという考えが浮かんできますが、そのうち忘れてしまって元に戻って考えてしまいます。すると、結局また同じ考えが頭の中で繰り返されることになり、そこから抜け出せなくなってしまうのです」

こうした思考の反芻行動で心のエネルギーは自分の中の対話に向けられる。

「そこでのコツは『反省はしたほうがいいけれど、後悔はしなくていい』ということなんです。どういうことかといえば、後悔するということは、『なぜあのときこうだったのか』といった反芻に近い考え方で、一方、反省するということは、後悔よりもちょっと前向きだということです。後悔はいつまでもクヨクヨしていて役に立たない。でも反省は、『今回はこういうことがよくなかったから次は改善しよう』という意味があって振り返るにはとても大事でよい方法なのです」

後悔では「あのとき」から時間が止まったまま動けなくなっている。失敗をそのままにはせず、2度と繰り返さないためにもきちんと振り返ることが大切だ。反省をすることで心の健康を保つことができるのである。