睡眠の質を高めて心身の健康を目指す「目覚め方改革プロジェクト」のリーダーで、久留米大学医学部神経精神医学講座の内村直尚(なおひさ)主任教授はこう話す。

「できるだけ朝は一定の時間に目覚めるように工夫しましょう。人はだいたい朝起きて、光を浴びると約16時間後に眠れるようになります。メラトニンという睡眠を促すホルモンが、脳の松果体(しょうかたい)から分泌されるためです」

逆に、朝起きてから16時間たたないとうまく寝付くことは難しい。

「夜の11時に寝ようと思ったら、その16時間前の朝7時には起きておく必要があります。例えば日曜日、休日だからと朝9時まで寝てしまったのなら、夜11時に寝ても眠れない。翌日の月曜日の午前1時にならないと眠くならないわけです。その結果、月曜日が寝不足となってしまいます。夜眠れないだけでなく、体調を崩したりし、うつ病の発症にもつながります。だから、休日でも平日と同じような時間に起きるということが、規則正しいリズムを生み、質の良い睡眠には大切なことなのです」

休日に普段の寝不足分を取り戻そうという人は、少なくないだろう。朝遅くなると夜も寝る時間が遅れ、また寝不足になるという悪循環を繰り返してしまう。

「休日の前の夜遅くまで起きて休日は昼ごろまで寝てしまうことは良くない。どうしても平日の睡眠が足りないという人は休日にはちょっと早めに寝ること。普段より1~2時間早く寝ることで睡眠時間をカバーしましょう。そういう意味でも、休日も平日と変わらず、できるだけ一定の時間帯に起きることがとても大事になるわけです。若いころは多少むちゃなことをしても眠る力を持っていますが40代、50代を過ぎるとそうした力が落ちるので要注意です」