来年4月から始まる「働き方改革」。順次施行される関連法では、時間外労働の上限規制の導入や年次有給休暇の確実な取得などが大きな柱となる。「目覚め方改革プロジェクト」のリーダーで久留米大学医学部神経精神医学講座の内村直尚(なおひさ)主任教授はこう話す。

「働き方改革については、仕事と休息をいかに効率よく取っていくのか、いわゆるワーク・ライフ・バランスが大事になります。昼間の労働時間の質を高め、イキイキとした効率の良い仕事をするために、どのように休息を取るか」

長時間労働ではなく「働き過ぎ」を防いで「ワーク・ライフ・バランス」を実現し、多様で柔軟な働き方を目指すためには、質のよい睡眠こそがカギとなる。

「従来のような、単に疲れたから眠るのではなく、私たちは眠ることによって、起きている間イキイキと生活できるという認識を持ちましょう。その結果、脳も体も充実して働くことができる。質の良い睡眠をきちんと取る必要があるのです」

今、改めて、労働時間と睡眠時間は相反する関係であることを認識したいものだ。

「長い時間仕事をしても、結局は能率が悪くなって、体調を悪くしてしまう。つまり脳も体もメンテナンスできないままに翌日を迎えることで、十分な力を発揮できない。積もり積もった睡眠不足は、いわば『睡眠負債』という返せない借金を抱えた状態に陥ってしまうこと。そうならないために休息を十分取りましょう。適切な眠りで昼間の活動性を上げ、仕事の能率を上げる。働き方改革は『睡眠改革』だといえましょう」

質の良い休息は適切に眠ること。「働き方改革」は睡眠を変えていくことから始めたい。

「積極的に睡眠を取ることで健康な生活ができるわけで、健康寿命を延ばすためにも、睡眠を見直す良い機会ではないかと思います」