社会システムが高度になると同時に、効率とハイスピードなライフスタイルを求められている現代。世界的に未曽有のストレス時代が到来している。個人を取り巻くストレスの量は受容力を大きく超え、蓄積したストレスが心身に引き起こす「ストレス性疲労」を抱えている人は増加する一方だ。

「ストレス性疲労」は一時的に解消するだけでは限界があり、継続的に、個人だけでなく社会全体で対処していかなくてはならない問題となっている。私は、そのソリューションを「ストレスオフ」というコンセプトでとらえ、複数の企業と協力しながら解決を目指している。

▼「ストレス性疲労」と聞いても、ピンとこない人は多いかもしれない。では、1週間の気分の浮き沈みで考えるとどうだろうか。一昔前まで、「アメリカでは月曜日と金曜日につくられた車は買うな」というジョークがあった。これは「休日明けや、週末前は労働者のやる気がなく、製造される車の品質が悪い」といったことを風刺的に表現した言葉だが、実は、月・金曜に限らず、多くの労働者が感じる曜日ごとの感覚には傾向があることが、調査で分かっている(※)。

▼例えば、自らストレス量の管理ができている低ストレス女性の多くは、週の初めを「運動」「セルフケア」といった健康を維持するための時間に充てる。週の半ばは「趣味」に充てるほか、半数近くが「睡眠」を意識してとる傾向にある。週の後半には「コミュニケーション」や「休息」、「リフレッシュ」に充てる人が多い。気づかないうちに、ストレスによる疲労を意識してエネルギー配分をしているのかもしれない。このコラムではこのような低ストレス者の行動傾向に着目し、いくつかのテーマに合わせた記事を連載し、読むだけでもストレスオフへの意識が高まるような、「読む処方箋」をお届けしていきます。

※メディプラス研究所調べ。全国、20~69歳の男女各7万人を対象に実施した「ココロの体力測定」による。厚生労働省実施の「ストレスチェック制度」身体状態をもとに調査し、高ストレス(77点以上)と低ストレス(39点以下)に分けて指数を作成。