睡眠や入浴といった生活習慣から考え方まで、ストレスオフのためには実にさまざまな方法があるが、今回はその1つ、“泣く”ことについて紹介したい。喜怒哀楽など、心を揺さぶられる経験によって共感脳が激しく興奮したときの涙を「情動の涙」と呼ぶそうだ。東邦大学名誉教授の有田秀穂先生の研究によると、この「情動の涙」が流れることで自律神経の副交感神経が優位になり、ストレスが抑えられる傾向にあることがわかっている。この方法は「涙活」と呼ばれ、積極的に涙を流すための活動を行うことが日常のストレスオフに効果的という。

▼泣くこととストレスの関係を調査したデータ(※)によると、実は男女とも低ストレスなほど泣く回数が多くなる傾向があるそうだ。しかし1カ月に「泣く回数」の平均について見てみると、男性の実に半数以上、52・5%が「月に1度も泣かない」と回答。これは女性26・7%の2倍近くにのぼる。

年齢層別の泣く回数では、働き盛りの30代から40代前半の男性が、月に「0・9回」ととりわけ泣かない傾向に。女性では全年齢層で月2回以上は泣く時があるが、30歳前後から40代が最も低い。

▼まだまだ「男は泣くべからず」意識が根強い日本人男性。特に働き盛り世代は泣かない傾向が顕著だが、「大人の男性が泣くことについてどう思うか」をシーン別できいた回答についても見てみたい。30~40代に絞ると、「涙が許されない場面」の1位は「仕事で失敗した時」で、これは全年齢層で同様であった。注目すべきは第2位で「仕事で成功した時」も泣くことは許されないと考えている30~40代が多く、男性10・2%、女性7・2%。これは他の年齢層と比較しても特徴的な結果である。

ただし泣く男性をどう思うか? という問いには実は多くが好意的であり、「人間性豊かだと思う」「優しいと思う」ととらえられている。泣くことでストレスが抑えられるのなら、たとえ男であろうと積極的に涙を流してもよいと思うのだが、いかがだろうか。

※男女各7万人を対象に行った「ココロの体力測定」調査(メディプラス研究所)。