前回このコラムで紹介した一般社団法人ストレスオフ・アライアンスは、昨年11月19日に設立記念としてシンポジウムを開催した。「ストレス性疲労(※)改善による社会生産力向上の実現に向けて」をテーマに、同アライアンス代表理事を務めるメディプラスの恒吉明美氏、厚生労働省労働基準局の秋山篤史氏、理化学研究所の渡辺恭良氏、JVCケンウッド・ビクターエンタテインメントの榎本誠也氏の4氏が満員の聴衆を前に講演を行った。

▼「ストレスオフ・アライアンスが目指す『社会価値』と『経済価値』を創造するCSVモデル構築について」という代表理事の恒吉氏の基調講演から始まり、国が取り組むストレスチェックについての講演、そしてストレス性疲労改善ソリューション等についての講演が行われた。ストレス性疲労改善について説明がなされる中で、「疲労と老化のメカニズムは、時間経過が違うだけでほぼ同じと考えられる」という興味深い発表があり、参加者から大きな反響があった。第2部ではオフィス環境と音の影響について講演と実演が行われた。会場で流されたハイレゾ自然音により、音環境がストレスオフに関係することを体感できる試みで、“百聞は一聴にしかず”と参加者も納得しやすい内容だった。

▼今後もシンポジウムの開催や各種勉強会を実施する予定で、いよいよストレスオフに関する議論を公の場で行う準備が整った、と期待が高まる。さらには、ストレスオフに関連する製品やサービス等の企業認証を行う「ストレスオフデザイン賞」の認定を予定していることも明らかにされた。今後は産官学の有識者によるさまざまな視点からストレス性疲労を研究し、一般企業と協力しながら社会の生産力の回復、成長への貢献を目指していく。

私も将来的にはストレスオフ・アライアンスのつながりを活用し、各企業と分科会などを設置して、エビデンスに基づいた「ストレス性疲労」のソリューションを社会に届けるため尽力したいと考えている。

※ストレス性疲労 ストレス量が個人の処理能力(キャパシティー)を超えたことにより引き起こされる心身の疲労状態のこと。