「ハグをすると1日のストレスのうち3分の1が解消される」、そんな話を聞いたことがあるだろうか。この効果には当コラムでも何度も取り上げてきた「オキシトシン」が深くかかわっている。ハグなどの親しい人とのスキンシップで分泌が高まる「オキシトシン」は、ストレスオフに有効な物質として注目を集めているホルモンだ。通称「愛情ホルモン」ともよばれ、ストレスをコントロールする中枢である視床下部を鎮静化し、ストレスホルモンと呼ばれる「コルチゾール」の分泌を抑制、癒やしをもたらす。

▼女性(有職者・専業主婦)のスキンシップ行動をストレスレベル別に調査したデータ(※)では、ストレスの高低にかかわらず、子どもとは「抱っこ」「おんぶ」「手をつなぐ」「添い寝する」といったスキンシップが多く行われている。これは有職者・専業主婦共に上位に挙がり、ストレスレベルでも差がみられないため、女性にとっては、子どもとのスキンシップはごく自然な日常行動であることがわかる。

これが、対象がパートナーとなると事情が変わってくる。全体で第1位に挙がる「寝室が同じ」の項目は、有職者よりも専業主婦の女性のほうがわずかに高ポイントだ。有職者女性の場合、職種によってはパートナーとの生活時間にずれがあり、スキンシップの時間が少ない、ということもありうるだろう。

▼対象を低ストレス女性に絞って調査すると、どんなスキンシップ行動がストレスオフと関連しているのかが浮かんでくる。専業主婦の場合、「外出先で手をつなぐ」「パートナーとデートをする日がある」など、家の外やちょっと特別なシーンでのスキンシップ行動が多く、非日常下での行動がよりオキシトシンを分泌させている可能性がある。逆に有職者女性の場合は、「毎日ハグをする」といった行動を好んで行っていて、日常でのスキンシップ時間を大切にしているようだ。同じスキンシップでも、生活習慣・環境によってより効果的な行動を選んで行うことが、効率よくストレスオフするこつと言えるだろう。

※男女各7万人を対象に行った「ココロの体力測定2017」調査(メディプラス研究所)。