世界的な感染拡大が続く新型コロナウイルス。未曽有のパンデミックに緊急事態宣言も発令され、社会のあり方が大きく変化している。他者とのコミュニケーションのあり方も大きく変化し、終息も見通せない重圧が続く。メンタルヘルスへの影響も懸念される中、「コロナうつ」との言葉も生まれた。長期化する「新たな生活様式」の中での「心」の問題とは。市ヶ谷ひもろぎクリニックの渡部芳徳理事長に聞いた。

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コロナうつの治療の前に、正しい診断が欠かせません。私は2010年に研究開発した「ひもろぎ式うつ尺度(HSDS)・不安尺度(HSAS)」を患者さんに行ってもらい、うつ病の評価尺度として生かしています。まずは、「うつ尺度」の「身体的症状」をチェックしてみてください。

睡眠障害…「いつもと同じにぐっすり眠れる=0点」「床に入るとすぐに眠れるが、いつもより1時間ほど早く起きる=2点」「床に入るとすぐに眠れるが、いつもより2~3時間ほど早く起きる=4点」「すぐに眠れず、朝まで何度も目を覚ます。数時間早く目が覚める=6点」。

食欲減退…「何を食べてもおいしく感じる=0点」「なんとなく食欲がなく、食べ物が味気なく感じる=2点」「食欲がなく、水分だけを取っている状態=4点」「食欲はほとんどなく、1カ月の間に5%以上体重が減った=6点」。

不安・焦燥感…「気持ちはいつもさっぱりしている=0点」「最近、時々イライラすることがある=2点」「しばしば、ささいなことに対して心配して、イライラしている=4点」「いつもイライラして、心配でじっとしていることができない=6点」。

全身倦怠(けんたい)感…「疲れなど感じず元気いっぱい=0点」「以前と比べて、最近、時々疲れたと感じるようになった=1点」「しばしば疲れたと最近、感じるようになった=2点」「いつも疲れを感じており、全身の脱力、無気力感がある=3点」。

性欲の減退…「いつもと同じペースでセックスでき、性欲が十分である=0点」「以前よりも性欲がなく、セックスへの関心が弱くなっている=1点」「最近はセックスへの関心が、かなり弱くなっている=2点」「まったく異性やセックスに興味がなくなってしまっている=3点」。

身体各部位…「身体のどこにも痛みを感じず、調子は良好である=0点」「ときどき、頭痛や肩痛、腰痛や筋肉の痛みを感じる=1点」「しばしば、頭痛や肩痛、腰痛や筋肉の痛みを感じる=2点」「常に、頭痛や肩痛、腰痛や筋肉の痛みを感じる=3点」。

次回は「うつ尺度」の「精神的症状」をチェックし、そのトータルの点数で判断しますので、次回のチェックは不可欠です。

(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)