錦織は「好きな」フェデラーを手本に/怒りの処方箋

怒りの処方箋

 今年のテニス全仏オープン3回戦で、韓国の選手との試合中にいら立った錦織圭選手がラケットに怒りをぶつけて破壊し、主審から警告を受けました。師匠の松岡修造さんも「圭らしくない。良くないですね」と指摘し、「サンデーモーニング」では張本勲さんが「世界に笑われますよ」と「喝」を出しました。

 怒りをエネルギーに転化し、パフォーマンスが上がればいいのですが、錦織選手の場合、残念ながら上がったとはいえませんでした。その後、右手首の状態が悪化し、残るシーズンは欠場となりました。トータルでプラスに働くことがなかった怒りといえます。

 アンガーマネジメントはアスリートのメンタルトレーニングに利用されています。米プロフットボールリーグ(NFL)がプログラム受講を必須としているのを始め、テニスでは4大大会優勝19回のロジャー・フェデラーが知られています。

 10代のころのフェデラーは試合中、自分の感情がコントロールできなくなり、審判に抗議し、ラケットを投げ付けることもあったといいます。1997年からアンガーマネジメントを受け、一時の怒りによってどれだけエネルギーを無駄にしてきたかに気付きます。その後も「常にメンタルトレーニングしている」と話し、怒りをコントロールしています。

 錦織選手は今年の全豪オープンで、フェデラーと初めて4大大会で対戦しました。フルセットの末、敗れましたが、「一番好きな選手」と明かしています。怒りをコントロールできるようになれば、フェデラーのようにもう一段上のステージに立てるようになるはずです。