「真っ暗」で寝ると肥満予防に/森田豊の健康連載

<ドクター森田の「健康になりなさい!2019」(33)>

まず、昼寝に関するクイズです。

Q NASA(米航空宇宙局)のパイロットを対象にした研究結果。フライト中に(当然、操縦を交代した上で)、26分間の昼寝をすることによって、パイロットの注意力はどれほどアップした?

A・24% B・54%。

答えは「B」の54%。いかに昼寝が大切か、がわかりますが、飛行中に昼寝とは!? また、ペンシルベニア大学の研究チームが、NASAと行った研究によれば、短時間、お昼寝をすると、機嫌をよく保てるし、ストレスの影響を減少させることもできるとか。さらには、心臓病のリスクを低下させる効果もある、ということです。

Q ギリシャ在住の2万3681人を対象にした研究結果。「昼寝を全くしない人」に比べると、「週に3回以上、30分の昼寝をした人」は、心臓疾患による死亡低下率は?

A・37% B・8%

答えは「A」の37%。適度な昼寝は、病気にも好影響をもたらすようです。

Q 続いて睡眠に関する問題。金縛りは、悪魔が引き起こす。

A・ウソ B・ホント

答えは「A」のウソ。

金縛りのときには、体を押さえつけられているように感じますが、これは夢の1つで、脳の錯覚。医学的には「睡眠まひ」と呼ばれます。睡眠中に、全身の力は抜けているのですが、眠りが浅くなって目が覚めている状態に近くなるときがあります。その状態では、力が入らないので呼吸が止まったり、息苦しさを感じたりすることがありますが、そのようなつらい体験を、脳が錯覚して、あたかも、体を押さえつけられていると、勘違いしてしまうのです。ちなみに、国際的には、亡霊、悪魔、魔女、宇宙人、妖精が起こすとも信じられていますが、そんな事実はないのです。

Q 真っ暗で寝ると、どちらがホント?

A・太りやすくなる B・肥満予防につながる

答えは「B」。明るいところで寝ると暗いところで寝た場合に比べて「メラトニン」という、生体リズムに良い影響を与えるホルモンが20%程度しか分泌されません。ほぼ真っ暗な照度3ルクス未満の部屋で寝ている人と、同9ルクスの豆電球の明るさで寝ている人を比べたら、肥満症や脂質異常症の割合が、9ルクスが3ルクスの1・9倍にもなったとか。真っ暗で寝たほうが、肥満防止につながるということです。

◆森田豊(もりた・ゆたか)1963年(昭38)6月18日、東京都生まれ。秋田大医学部、東大大学院医学系研究科修了。米ハーバード大専任講師を歴任。現役医師として活躍すると同時に、テレビ、ラジオでコメンテーターとして出演多数。テレビ朝日系の人気ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」の医療監修をドラマ立ち上げの時から務め、今年10月に新シリーズを迎える。気分転換は週2回のヨガで、15年あまり継続。インスタグラムdoctormorita、ホームページmorita.proなどで情報発信中。