几帳面、繊細な人がなりやすい/森田豊の健康連載

<ドクター森田の「健康になりなさい!2019」(48)>

「パニック障がい」は、突然起こる激しい動悸(どうき)、発汗、頻脈、息苦しさ、胸の不快感、めまいといった体の異常とともに、「このままでは死んでしまうのではないか」というような強い不安感に襲われる病気です。「パニック発作」「予期不安」「広場恐怖」の3大症状があります。

パニック発作は、突然、恐怖や強い不安を感じ、動悸、めまい、呼吸困難などの身体症状を伴います。

予期不安は再び、発作が生じるのではないか、と強い不安が生じます

広場恐怖は、いつ生じるかわからない発作に備えて、助けを得られない状況や、発作から逃げられない状況を避けるようになります。

パニック障がいの診断は問診が中心になり、米国で考え出された基準がよく使用されます。この基準は13のチェック項目があり、4個以上当てはまると、パニック障がいの可能性があるとされています。<1>心臓がドキドキしたり、脈拍が増加する<2>手のひらや、全身に汗をかく<3>体や、手足が震える<4>息切れ感や、息苦しさを感じる<5>窒息感、または喉が詰まった感じがする<6>胸の痛みや圧迫感、不快感がある<7>吐き気や腹部の不快感がある<8>めまい、ふらつき、または気が遠くなるような感じがする<9>現実感が失われ、自分が自分ではない感覚が起こる<10>自分をコントロールできなくなる恐怖や、気が狂う恐怖に襲われる<11>このままでは死んでしまうという恐怖を感じる<12>体の一部にしびれ感や、うずきを感じる<13>冷たい感じや、ほてった感覚がある

パニック障がいになりやすいのは、きちょうめんで繊細、もともと不安や恐怖心が強い人が多いです。また「こんなことをすると、他人に迷惑をかける」などと、自分よりも他人を重視する優しい人が多いのも特長。また、過労、睡眠不足、ストレス、家族歴なども背景にあります。男女別では女性が男性の約3倍多く、年代では男女ともに30代が最も多くなっています。

広場恐怖に関しては、トンネル、エレベーター、橋などの狭いところを恐れる人のほか、自動車の運転、電車、バスなど公共交通機関、会議や行列に並ぶという精神的束縛状況を恐れる人もいます。克服法は、心療内科医、精神科医のもとに時間をかけて治療を行うべきです。

◆森田豊(もりた・ゆたか)1963年(昭38)6月18日、東京都生まれ。秋田大医学部、東大大学院医学系研究科修了。米ハーバード大専任講師を歴任。現役医師として活躍すると同時に、テレビ、ラジオでコメンテーターとして出演多数。テレビ朝日系の人気ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」の医療監修をドラマ立ち上げの時から務め、今年10月に新シリーズを迎える。気分転換は週2回のヨガで、15年あまり継続。インスタグラムdoctormorita、ホームページmorita.proなどで情報発信中。