感覚を「味覚センサー」で再現/森田豊の健康連載

<ドクター森田の「健康になりなさい!2019」(50)>

あなたは、目玉焼きにはどんな調味料をかけますか? しょうゆ? ソース? 塩? ケチャップ? 好みはそれぞれですが、「目玉焼きと最も相性がいい調味料は客観的に分かる」ようになりました。そう、食べ物と調味料の相性は「相性度」として算出できるのです。

それを調べるには、まず食べ物の味を知る必要があります。味は、「甘味」「うま味」「塩味」「酸味」「苦味」の基本5味で成り立っています。食べ物の味を知るということは、この5つの味がそれぞれどの程度含まれているか、を知ることです。そこで役に立つのが、最近、開発費用3000万円の「味覚センサー」というヒトの味覚を再現したマシンがつくられたようで、これを使って食品を分析すると、含まれている5つの味を客観的な数値で表すことができるのです。

たとえば、普通のたまごの味を測定すると、こんな数値となりました。甘味1・48、うま味2・52、塩味1・38、酸味1・14、苦味1・07。これで、たまごはうま味が強い食べ物であることが分かります。食べ物の相性を表す相性度は、この5つの味の数値を使って計算されます。

同センサーには、15歳から60歳までの100人を超える味覚サンプルと人工知能が搭載されています。これに料理を通せば、人間が舌で感じる5つの味を数値化することが可能。その数値を基に食材と調味料の相性を100点満点で点数化することができます。

測定方法は、調べたい食材や調味料を混ぜて成分をマシンに読み込ませると、5つの味覚を分別し、相性が点数ではじき出される仕組みです。100点が完璧で80点が普通、70点を下回るとまずいという評価になります。人間がおいしいと感じるのは、舌が感じる5つの味のうち2つの味が特化しているものを食べた時だとか。この相性度を使って、「目玉焼きと一番相性がいい調味料」が出されます。それによると、1位は「塩」で98・5ポイント、2位は「しょうゆ」の97・6ポイントだったということです。塩の勝因は、塩の塩味がたまごのうま味を完璧に引き出し、しかも酸味、苦味、甘味といった他の味がないことで、塩味とうま味の相乗効果が一番効く環境だったために相性度が高かった、といえるでしょう。

◆森田豊(もりた・ゆたか)1963年(昭38)6月18日、東京都生まれ。秋田大医学部、東大大学院医学系研究科修了。米ハーバード大専任講師を歴任。現役医師として活躍すると同時に、テレビ、ラジオでコメンテーターとして出演多数。テレビ朝日系の人気ドラマ「ドクターX~外科医・大門未知子~」の医療監修をドラマ立ち上げの時から務め、今年10月に新シリーズを迎える。気分転換は週2回のヨガで、15年あまり継続。インスタグラムdoctormorita、ホームページmorita.proなどで情報発信中。