たっぷりの唾液で肺炎を防ごう/安達純子コロナ連載

 

<医療ジャーナリスト安達純子「Withコロナで健康管理」(32)>

コロナ自粛に伴い、運動不足や食生活の乱れ、通院をやめるなど、健康に悪影響を及ぼすような状況に陥っている人は少なくない。新型コロナ予防は重要だが、生活習慣病などの健康管理も大切といえる。そこで、Withコロナでの健康管理について考えていく。

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新型コロナウイルス感染症の肺炎に歯周病菌が関わる可能性について、前回紹介した。では、そもそも肺炎と歯周病の関係はどうか。

「誤嚥(ごえん)性肺炎を起こした人の肺から、高い頻度で歯周病菌が見つかることから、歯周病は肺炎と関連性が強いといわれます。誤嚥性肺炎を予防する上でも、口腔(こうくう)ケアは重要です」とは、栗原ヘルスケア研究所の栗原丈徳所長(歯科医師)。「糖尿・がん・ボケ・寝たきり 口を鍛えればすべて解決する」(主婦の友社刊)などの著者で、口腔ケアと全身の健康について研究・啓発活動に力を注ぐ。

「一般的に腸内細菌が注目されていますが、口の中も腸内に負けないほど細菌がいます。口の中が清潔でないと、歯周病原菌など悪い細菌が増えて、全身の健康に悪影響に及ぼすのです」

口の中で増えた歯周病菌は、食べ物や唾液と一緒にのみ込まれる。このとき誤って気管に入ってしまうと、若くて健康な人ならば、せきと一緒に食べ物を喉の方へ戻せるが、高齢者はせきによって排出する力が弱い。気管の異物を出す働きが低下し、食べ物や唾液と一緒に歯周病菌が肺に入り込み、誤嚥性肺炎になるのだ。

「加齢に伴い唾液が少なくなることも、歯周病菌の増殖に関係します。唾液は口の中の自浄作用や抗菌作用など、さまざまな重要な役割を果たしているのです。唾液の分泌量を保つことを意識しましょう」

口をよく動かし水分のこまめな補給が大切。たっぷりの唾液で肺炎を防ごう。