エンジョイ健口ライフ<36>
虫歯ができても、さほど大きなものでなければ樹脂や金属を部分的に詰める程度で済みます。
ところが、虫歯になった面積が増すとそれでは強度が足りずに歯全体をクラウン(冠)でかぶせる必要が出てきます。
深さが進むと歯髄(歯の神経)まで取り除く治療を行いますが、広く深く掘らなければならなかった分、壁が薄くなります。こうなると土台で歯全体を補強する工程を経てクラウンにたどり着きます。
一度治療した歯の虫歯が再発して痛みが出たり、歯周病によって歯が大きく揺れるようになれば歯を抜くことになります。1本だけを失った場合に入れる装置で多いのが、「ブリッジ」と呼ばれるものです。抜いた両隣の歯を削ってそれぞれにクラウンが入り、歯のない部分には人工歯を作り、計3本を橋のようにつなぎます。両隣の歯が橋げたのイメージです。
橋げた部分のクラウンは歯科用セメント(接着剤)で合着するため、ブリッジは固定されます。つまりこのブリッジも、広い意味では「固定式の義歯(入れ歯)」なのです。一般的に入れ歯と呼ばれる「取り外し式の義歯(部分入れ歯)」と比べると歯ぐきを覆うピンク色の部分がなく、しっかり固定されているため、条件次第では天然の歯と同等の咀嚼(そしゃく=かみ砕く)能力を発揮できます。異物感が少ない、発音しやすい、見た目も良いといったメリットがある一方で、橋げたになる歯をある程度削らないと作れないのが関門です。
失った歯の本数は少ない場合はこうした固定式の入れ歯で対応が可能ですが、限界もあります。橋の部分が長くて橋げたの数が少なければ長く持ちません。支える歯が健康で頑丈でなければ、弱って共倒れになるリスクも出ます。固定式か取り外しか、入れ歯の選択に悩まれる患者さんが多いのは当然です。