エンジョイ健口ライフ<45>
永久歯は2度と生えかわることがないため、失われた範囲に応じて適切な装置を作り、機能と見た目を回復させることが必要です。
歯科医院での治療の際に粘土のようなドロッとした材料で型採りをされた経験のある方は多いと思いますが、あれは装置を作るに欠かせないファーストステップです。口の中の一部分、あるいは全体を模型におこし、実際の口の中の形や動きを再現しながら装置が作られていきます。
実際の入れ歯や差し歯などができあがる工程というのは患者さんから見えない部分ですが、「歯科技工士」というスペシャリストがここを担当しています。
1本だけのかぶせ物や入れ歯であれば周りに残った歯の状態を鑑みながら比較的シンプルに仕上げることが可能ですが、失われた歯の本数が多い場合、覆う面積が広い症例では過程が複雑になります。歯の色や形態以外に、顎が安定する位置やかみ合わせのバランスといった要素も復元し、チェアサイドでの試し入れなどで確認しながら丁寧に作っていくからです。
当然時間もかかります。歯科技工には高い技術と経験値が必要とされ、こうしたスペシャリストの存在なくして歯科医療は成り立ちません。銀の詰め物ひとつとっても、まさに芸術品の域です。特に日本の歯科技工の技術は大変優れていると言われていますが、理由のひとつには他国に類を見ない教育体制が根底にあるからだとされています。
2~4年間かけて専門的なカリキュラムをこなし、国家試験をクリアして歯科技工士免許が取得できますが、国家資格が存在する国は日本以外に韓国と台湾だけです。逆に言えば諸外国では、専門職の免許がなくとも技術力での勝負が可能であり、歯科先進国といわれる欧米をはじめ世界各地で活躍する歯科技工士も多数存在します。