心臓ロボット手術<3>
体に優しい手術を実現するロボット手術(ロボット支援下手術=ダヴィンチ)は私の夢であり、人間の夢なのです。日本では消化器での導入が最初に行われましたが、心臓でのロボット手術は私が日本で最初に行いました。
米国で心臓ロボット手術を始めた外科医のいることを知り、03年くらいからダヴィンチ導入に駆け巡りました。それには、私が世界初の「完全内視鏡下冠動脈バイパス手術」を成功させたことも大きく関係していました。
当時、私は金沢大学付属病院心臓外科の教授でした。地元選出の国会議員の馳浩氏(現石川県知事)がダヴィンチ導入を強く推奨してくれたのです。そして、05年に金沢大学付属病院と新たに兼務が決まった東京医科大学病院の両方に導入されました。
私は両大学で教授を兼任していたので、東京と金沢を行ったり来たりして心臓ロボット手術を始めました。当時、心臓ロボット手術は臨床試験ではなかったので、患者さんがロボット手術をOKするとすべて病院がお金を出して手術を行っていたのです。3年くらいで、100例以上の心臓ロボット手術を、「心臓バイパス手術」「僧帽弁形成術」「心房中隔欠損症」の3つを対象に行いました。
そして、08年から企業治験が金沢大と他の病院でスタート。15年ころに「僧帽弁形成術」と「心房中隔欠損症」に薬事が通り、ダヴィンチはその2つの心臓手術に使用が許可されました。その後、高度先進医療が認められ、心臓ロボット手術は長い道のりを経て、患者さんにとってより治療として選択できる手術になりました。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)