僧帽弁閉鎖不全症の治療法「僧帽弁形成術」とは/渡邊剛・心臓ロボット手術

 

心臓ロボット手術<12>

保険適用が認められている「心臓ロボット手術(心臓ロボット支援下手術=ダヴィンチ)」疾患は「僧帽弁閉鎖不全症」で、治療は「僧帽弁形成術」です。前回は、僧帽弁閉鎖不全症がどのような疾患かを説明しました。今回は、その治療の僧帽弁形成術について説明します。

僧帽弁を支えている糸状の腱索が切れたり伸びたりして弁がきちっと閉じなくなる僧帽弁閉鎖不全症になると、「僧帽弁置換術」と「僧帽弁形成術」の2つの治療法があります。

僧帽弁置換術は自分の弁を取ってしまって、人工弁に置き換えてしまう治療。人工弁には機械弁と牛・豚の弁を使った生体弁があり、術後に薬を服用する必要があります。対象になるのは、リウマチ性弁膜症(膠原病の1つの疾患であるリウマチ熱は心臓弁膜症を合併することが多い)で硬くなってしまった僧帽弁です。

一方、僧帽弁形成術は、僧帽弁の壊れているところを患者さん自身の組織を使って治療するのです。例えば、くっついていた弁と筋肉が剥がれているような場合、人工のボアテックスの糸で縫い付けます。

また、僧帽弁に穴が開いているときは、穴のところにきれいにパッチをあてて縫い付けます。その時のパッチは、患者さん自身の心膜を使います。悪い部分を修理していくのが形成術。だから、治療後に薬を服用する必要はありません。

僧帽弁がどのような状態かは、心臓の超音波検査でわかります。その検査でリウマチ性でない場合、私たちは僧帽弁置換術ではなく、僧帽弁形成術を患者さんに勧めています。理由は、僧帽弁を形成術で治せば血液をサラサラにする薬は不要になり、術後10年間の再発も10%以下と良いからです。また、弁置換術に比べて死亡率も低く、安全な手術だからです。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)