心臓ロボット手術や小切開手術なら元の生活への復帰も早く/渡邊剛・心臓ロボット手術

 

心臓ロボット手術<17>

2018年4月に心臓ロボット手術(心臓ロボット支援下手術)が保険適用になりました。が、心臓ロボット手術すべてが適用ではありません。適応が弁形成術ということなので、主に「僧帽弁形成術」「三尖(さんせん)弁形成術」と限られています。そんな中、保険適用ではなく自費診療で心臓ロボット手術を希望する患者さんも少なくありません。前回は「冠動脈バイパス手術(CABG)」を取りあげました。今回は「心房中隔欠損症の手術」を紹介します。

心房中隔欠損症は、左右の心房の心房中隔(左右の心房を2つの空間に分けている壁)に生まれつき穴が開いている状態。先天性心疾患の1つです。自然閉鎖は期待できないので、経過を見ながら心房中隔欠損症の手術タイミングを考えていきます。

その手術は右心房を切開し欠損した穴をそのままふさぐ、もしくはパッチを使って閉鎖します。従来の手術は、胸の真ん中を25センチ程度切開しますが、私たちチーム・ワタナベが行う成人の心房中隔欠損症の手術は、1センチ程度のキーホールを2~3つだけで内視鏡を使って行う心臓ロボット手術、あるいは保険で行える5センチ程度の小切開手術で行っています。

心臓ロボット手術、もしくは小切開手術で行うと、出血量も痛みも格段に少なく、手術も早く終わり、元の生活にあっという間に復帰できます。傷痕もほとんどわかりません。

手術のほかには、カテーテル治療も行われています。鼡径部(そけいぶ=脚の付け根)の大腿(だいたい)静脈からカテーテルを挿入して心房へ。そして、傘のようなデバイスを中隔欠損部に留置する治療。この治療の欠点は、身体に金属が一生入ってしまうことと、穴の大きさや位置によってできないこと、留置後の脱落や他の臓器が損傷する事故も起こっています。初期には血栓がつくので、抗凝固療法が不可欠です。きちっと理解し、納得して治療を受けましょう。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)