心臓ロボット手術<24>
前回は心臓ロボット手術(心臓ロボット支援手術=ダヴィンチ)を受けた患者さんのケースを紹介しました。今回は2人目の患者さんのケースを紹介します。
Bさん(女性)は、30代後半で「僧帽弁閉鎖不全症」と「三尖(さんせん)弁閉鎖不全症」の2つの心臓弁膜症に苦しんでいました。2歳のお子さんの母ですが、なるべく早くもう1人、子を授かりたいと希望されていました。この強い出産希望がポイントでした。2人目の子を授かるには、早く2つの心臓弁を手術で治すしかありません。ただ、胸の中央部を大きく切開すると痛みが長く続き、子供を授かることがなかなか思うようにはいきません。
そこで、Bさんはとにかく身体に負担の少ない手術を探し、見つけたのが心臓ロボット手術だったのです。心臓ロボット手術を行っている病院を探すと、すぐに私たちの病院にたどり着きました。Bさんは主治医に紹介されたのではなく、すべて自分で探したのです。
そして、受診されたBさんに心臓ロボット手術がどれだけ身体に優しい手術なのかを、十分納得いただけるまで説明しました。Bさんは2歳くらいのお子さんがいたので、「入院期間が短い」「身体に優しい手術」「退院して2人目の子を授かりたい」と強い思いがありました。手術は僧帽弁閉鎖不全症の形成術なので、保険適用。その時に三尖弁も治療するので、こちらも保険適用です。
手術は予定通り行い、右胸に1センチ程度の刺し傷が4つだけで終了。Bさんは入院から1週間後には退院。そして、1年後に「2人目の子が生まれました」とご連絡がありました。Bさんの計画に、私たちがしっかり参加し、成功したことが何よりうれしいことでした。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)