照山裕子・口の保健室<18>
2001年のギネスブックに「全世界で最もまん延している病気は歯周病である。世界中を見渡してもこの病気に侵されていない人間は数えるほどしかいない」との記載があります。ここから20年以上がたちますが、いまだに世界一の座を譲っていません。
「感染症の絶対王者」ともいうべき歯周病には、わが国でも国民の7割が罹患(りかん)していると言われています。この根拠はどこから来ているかというと、5年ごとに厚生労働省が実施する「歯科疾患実態調査」という調査統計からはじき出された数字です。世界的に見て、日本人だけが特別歯が悪いのではないかというイメージを持つ方も少なくないようですが、これは半分誤解です。WHOの統計を見てみると、歯周病が進行しやすい世代である35歳~44歳の層において、罹患率に大差はありません。しかしながらここから先の人生をどう過ごすかが分かれ道になるようです。
例えば、歯科先進国と呼ばれるスウェーデンでは、80歳代で残っている歯の平均本数が日本人よりも高いという特徴があります。歯周病に罹患することは免れないとしても、予防策を講じて病気の進行を食い止めることで歯を失うリスクが下げられている可能性が高いです。
歯周病は自覚症状に乏しい病であるため、自分では進行に気づきにくい点も罹患率が下がらない理由かも知れません。視覚的にわかりやすいのが「歯ぐきの変化」なのですが、写真を提供したくとも、食事時に放送されるテレビ番組では真っ先にNGが出ます。歯周病をテーマにした取材はものすごい数が来るのに、言葉でしか表現できないジレンマです。結局のところ、定期的な歯科検診を推奨するしかない理由には、こうした裏事情もあります。