照山裕子・口の保健室<25>
高齢社会であることを示す数値に「高齢化率」があります。65歳以上の人口が占める割合を調べたもので、22年10月1日時点での日本の高齢化率は過去最高の29・0%に到達したと総務省より発表がありました。人口の約1/3が65歳以上という計算で、1970年(昭45)にはたった7%だったのに対し、24年後の94年(平6)には14%と、目覚ましいスピードで進展したさまが手に取れます。75歳以上の人口も15・5%となり、こちらも大幅な増加傾向です。
日本が超長寿国に成長した理由は、医療制度や社会保障制度が充実していたからにほかなりません。しかしながらこれだけ急速に発展したからこそ、単に寿命を延ばすだけではなく「日常生活に支障のない期間」である健康寿命の数字の延伸を国全体で考えていかなければならないフェーズにあるとも言えます。
今後ますますキーワードとなる単語の1つが「フレイル」です。高齢になり、心身機能や活力が衰退し虚弱した状態を指す言葉ですが、「健康」と「要介護(寝たきり)」の中間に位置するイメージと捉えるとわかりやすいでしょうか。フレイルに陥っていることを早期に発見し、治療や予防といった積極的な介入を行うことで再び健康な状態に引き戻す。この働きかけが要介護リスクを回避できるといわれています。
歯の本数が減るなどの変化で食事が思うように摂れなくなる「オーラルフレイル」は「フレイル」に先駆けて始まるとされ、オーラルフレイルの人が24カ月後にフレイルを発症する率は、そうでない人に比べて2倍も高いことがわかっています。昔に比べて歯のケアや口の機能全体が重視されるようになった理由は、ひとえにこうした時代背景によるものです。