10代が70代よりも食べ物をかみ切れていない現状/歯学博士・照山裕子「口の保健室」

 

照山裕子・口の保健室<40>

「むせる」「食べこぼしがある」と聞くと、高齢者特有の問題に感じる方も多いかと思いますが決してそうではありません。

2022年、全国の15歳から79歳の男女1万人を対象に日本歯科医師会が実施した「歯科医療に関する一般生活者意識調査」では、全世代で口の衰え(機能不全や低下)が目立つことが明らかになりました。

調査項目は<1>滑舌が悪くなることがある<2>口の中が渇きやすい<3>むせやすい<4>食べこぼしをすることがある<5>食べていて飲み込めないことがある<6>飲み込みにくい、の6つ。

基本的には年齢が上がるごとにこれらの症状を経験する方が増えています。しかしながらこの調査で浮き彫りになったのは、若年層における口の問題です。特に10代は<2>以外のすべての項目で、20代や30代よりも数値が高いのです。<1>に関しては30・3%と、60代に匹敵する勢いです。

詳細な質問を進めると、10代は「かむ力」も未発達の傾向が強いことがわかります。「かたい食べ物を食べる時にかみ切れないことがある」は40・3%、「かたい食べ物よりやわらかい食べ物が好き」が53・6%と全世代で最多となりました。「食事でかんでいるとあごが疲れることがある」は48・3%で、実に70代の2・7倍という結果に。成長期にあるはずの10代が、70代よりも食べ物をかみ切れていないという現状を皆さんはどう感じるでしょうか。

2018年に「口腔(こうくう)機能発達不全症」が病名として制定され、現在18歳未満の子どもであれば保険診療での対応が可能になりました。株式会社ロッテの調査によると、子どもの口腔機能発達を意識している保護者は3割に満たないという報告もあります。気になる症状があれば歯科医院へ。健康な体づくりには、まず口を育てるという発想が必要です。