顎関節症とは? 多くの要素絡む「多因子病因説」も/歯学博士・照山裕子「口の保健室」

 

照山裕子・口の保健室<42>

「歯」という漢字を分解すると、「止」が上(上顎に相当する部分)にあり、「米」を囲む枠(下顎に相当する部分)が下に来ています。口の中で食べ物をくわえて止めるイメージで、実際のところ口はこの漢字が表現するままのつくりになっています。私たちが頭の一部である上顎は固定されて動かないのに対し、下顎は食べ物の硬さや食べるスピードに合わせてせっせと働いています。

こうした仕組みから、上顎と下顎をつないでいる「顎関節」という部分に症状が出ることは決して珍しくありません。酷使した膝や肩などが痛むのと同様、毎日必死で頑張っているのですから、「もう無理!少し休ませて」という体からのサインなのだと思ってください。

顎関節は耳の近くにあるため「カクカク音がする」と感じる方は多いのですが、これは全人口の約20%に見られると言われています。ほかの不快な症状がなければ治療の必要はないので、様子を見ていても問題ありません。

<1>口を大きく開け閉めした際に痛みがある<2>この症状が一週間以上続く、という2点が歯科医院を受診する目安になります。

顎を動かす際の筋肉の痛みや、顎をうまく開けられないといったさまざまな症状を総じて「顎(がく)関節症」という病名がつきます。歯科ではこれまでの経過をヒアリングし、原因を取り除く治療を行います。以前はかみ合わせのバランスによってこうした症状が引き起こされると考えられていましたが、研究が進むうちに、多くの要素が複雑に絡み合って生じる「多因子病因説」と捉えられています。マスク装着によって下顎の動きが制限されていることで、こうした患者さんが増えているという医療機関もあるようです。