照山裕子・口の保健室<43>
顎(がく)関節症は生命に関わるような疾患ではないものの、日常生活(主に食事)において支障をきたすことが多く、生活の質を低下させる恐れがあります。どこを受診したらよいかわからない方も多いようですが、まずはかかりつけや近隣の歯科医院に相談してください。
問診でこれまでの経緯をお聞きし、顎の動きを調べます。具体的にどの部分に痛みがあるかを確認し、状況に応じてエックス線検査などを行います。関節や骨の形態に異常がないかを診断するだけでなく、顎関節症以外の疾患が隠れていないかを鑑別するためにも大切な検査です。
「顎関節症」と診断が下った場合、歯科では主に<1>生活指導<2>理学療法<3>薬物療法<4>アプライアンス治療、といったアプローチで改善を試みます。患者さん自身が気づかない普段の行動が症状を引き起こしていることもあるので、姿勢を正して過ごす、ほおづえをつかない、片方にだけ負担がかかるような荷物の持ち方をやめるといった<1>は案外効果が表れやすいものです。<2>は筋肉のマッサージや、ホットパック等を使用します。顎関節に付随する筋肉の緊張を和らげたり、温めて血流を良くするといった狙いです。強い痛みを感じる方には消炎鎮痛作用のある薬剤を使用する<3>を行いますが、あくまでも一時的です。薬で改善しない場合は他の原因を探り、治療法を変える必要があります。一般的に多くの患者さんに行うのが<4>です。上顎または下顎の歯列全体を覆うタイプのマウスピースを作り、睡眠時の歯ぎしりや食いしばりを防ぐ目的です。顎関節への負荷を軽減し、咀嚼(そしゃく)筋の緊張をほぐします。覚醒している時は自分自身で注意すれば問題ありませんが、無意識下でかかる荷重は要注意です。