納得して追加の外科手術を受けるために/東京女子医科大学病院消化器内科・野中康一教授

大腸がんの早期発見と内視鏡治療

大腸がんの早期発見の内視鏡治療<21>

「内視鏡治療」が済むと治療は終了、と思っていませんか。その後に、追加の外科手術が必要になるケースもあるのです。大腸がんの内視鏡治療は、がんを切除してがんの浸潤の深さが粘膜下層に1ミリまでで、血管などにがん転移がなければ基本的に治ったと考え、こののちは経過観察で良いことになっています。

内視鏡治療をした後に追加手術が検討されるのは次のようなケースです。<1>「大腸がんの内視鏡切除で、その切除部分のがん浸潤の深さが2~3ミリとかになっていて、ステージ1の中でも粘膜下層に深く浸潤しているようなケース」。ステージ1は「がんが大腸の粘膜下層、固有筋層にとどまっている」状態。内視鏡治療で問題なしとなるのは、その粘膜下層の浅い段階までの浸潤なのです。その段階を超えているのが、<1>です。加えて、<2>「内視鏡治療の後に血管とかリンパ節に転移が見つかったケース」。この場合、がんは全身転移の可能性があるので追加外科手術を検討しましょう、とガイドラインでもいわれています。つまり、<1>や<2>のようなケースは、基本的には外科手術をしないといけません。これは、内視鏡を1回実施してからの判断です。

前回は、直腸がんの内視鏡治療を紹介しました。術前の内視鏡診断である程度はがんの粘膜下層への浸潤が想定できますが、確実に粘膜下層へのがんの浸潤が1ミリでとどまっているかどうかは、内視鏡治療を1回行わないとわかりません。早期の直腸がんの可能性があるときは、まずは内視鏡治療を行ってみるべき、と私は考えます。そうすれば判断違いで人工肛門になってしまう不幸な状況を回避することができると思います。そのうえで、<1>と<2>のように進行していることが分かった場合は“納得して追加の外科手術”を受けることができると思います。ぜひ、頭に入れておいてください。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)