「分割切除は受けない」を基本に/東京女子医科大学病院消化器内科・野中康一教授

大腸がんの早期発見と内視鏡治療

大腸がんの早期発見の内視鏡治療<22>

身体を切らずに治療ができる“身体に負担の少ない内視鏡治療”を受けた場合、患者さんは「この後はいつ内視鏡検査を受けると良いの?」ということを心配されます。内視鏡できちっとがんを取り切ったということであれば、治療後の内視鏡検査は「1年後」ということになります。

ただし、これはすべてきちっとがんを取り切ったときです。例えば、直径2センチを少し超えた大腸がんは、「内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)」で治療します。ところが、ESDは得意ではないという内視鏡医が、「内視鏡的粘膜切除術(EMR)」で分割切除をしてしまった場合、がんの取り残しが考えられます。このようなケースでは、半年以内に内視鏡検査を行わなければなりません。

それを1年後にしてしまうと、もし、がんが残っていたとしたら、がんが大きくなって内視鏡での再治療が難しくなってしまっていることもあります。半年後であれば、がんが残っていたとしてもちょっと成長し始めても小さく、ESDで追加治療できる可能性が極めて高いのです。だから「がんを分割切除した場合は、半年後に内視鏡検査をしましょう」。これは重要なポイントです。

半年後に検査と言われていた患者さんで、半年後に受診されず、1年後にも受診されず、数年後にがんが全身に転移した患者さんもいます。このような経験をしないために、早期の大腸がんで内視鏡治療を受ける時は“分割切除は受けない”を基本として実践してください。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)