「男性に多い膀胱がんを知ろう」<17>
“身体に優しいロボット手術”が広く行われています。すべての手術で最初に保険適用で導入されたのは、2012年4月「前立腺がん」の手術。そして、泌尿器科では「腎がん部分切除」が2016年4月からで、「膀胱(ぼうこう)がんの膀胱全摘除術」が2018年4月から、「腎盂(じんう)がん・尿管がんの腎摘除」が2022年4月から、今では多くの施設でロボット手術が行われています。今回は、膀胱全摘除術のロボット手術を紹介します。
身体に優しいロボット手術は腹部を大きく切り開くことはありません。8ミリ程度の穴をおへその左右に6カ所開けるだけです。内視鏡を入れるポートが1つ、ロボットアームの入るポートが3つ、助手がサポートするアームが2つ。そして、アームから必要なものを入れるとロボット手術は始まります。
術者は3D画面を見ながらロボットアームを操作。まずは膀胱を取り、次に骨盤内のリンパ節を取ります。切除した臓器はへそのところの内視鏡の穴を5~6センチ広げて取り出します。へそのところを広げるのは、傷痕が目立たないからです。
この後は、「回腸導管造設術」「新膀胱造設術」が行われます。回腸導管造設術は人工肛門のように身体の外に袋をつけて膀胱の代わりを作る手術、新膀胱造設術は小腸の一部を使って新膀胱を作る手術です。この2つの手術は、19回と20回で詳しく取り上げます。
ロボット手術での膀胱全摘術は、膀胱を取るのに3時間、リンパ節を取るのに1時間、膀胱の代わりを作るのに2時間程度かかります。朝の9時からロボット手術を始めると夕方には終わります。そして、身体に優しい手術とあって患者さんの回復が速く、翌日から水分を摂ることができ、動き回れます。開腹手術では腸閉塞(へいそく)などがよく起きましたが、それが少ないのが何より患者さんにとって安心だと思います。(取材=医学ジャーナリスト・松井宏夫)