~新薬登場で重要度が増す~認知症の早期発見と予防25
歩行習慣や皮膚への刺激などで、高次機能をつかさどる大脳皮質や海馬でアセチルコリン(神経伝達物質)が増えると血流が増え、神経細胞も守られる。が、運動のし過ぎなどで無理をすると、疲れがたまったり足腰を痛めたり、逆効果につながる。
「アセチルコリンを脳で放出する神経細胞は、歩行だけでなく、咀嚼(そしゃく)のときにも活動します」と、東京都健康長寿医療センター研究所自律神経機能研究室の堀田晴美研究部長。長年、アセチルコリンを増加する新たな方法について数多くの研究を行う。
「咀嚼は、摂食・消化を助けるだけでなく、覚醒作用や認知機能の向上など、脳の働きにも有益な作用があるといわれています。これまで咀嚼中に大脳の血流量が増加することは知られていますが、その仕組みは不明でした。私たちの研究で、咀嚼による血流増加のメカニズムに、認知機能に重要な大脳のマイネルト基底核が関わることを明らかにしました」
堀田部長らは、すでに歩行によりマイネルト基底核が活性化されて、大脳皮質や海馬の血流が増えることを示してきた。咀嚼にも同様の作用があるのと予測し、ラットによる実験を行った。すると、予測通りの結果が得られたという。
「また興味深いことに、この反応には、咀嚼筋がどのように動くかは関係していないことが新たにわかりました。咀嚼のイメージだけで脳が活性化される可能性があります。この結果は、イメージトレーニングを生かした、高齢者の認知症予防の新しい方法の開発につながると期待されます」と堀田部長は話す。