予防法(1)顔がすぐ赤くなる人はお酒1合まで/昭和大学理事・村上雅彦特任教授

転移しやすい食道がん

転移しやすい食道がん<26>

「食道がん」は“転移しやすい”、さらに“早期には無症状”なので、普段の生活に食道がんの予防法を取り入れておくとリスクが抑えられます。今回はその「食道がんの予防法<1>」です。

食道がんのリスク因子のトップに取り上げたのが「飲酒」でした。お酒を飲むとアルコールは肝臓でアセトアルデヒドに分解されます。そのアセトアルデヒドが発がん物質です。肝臓にアセトアルデヒド分解酵素を持っているのですが、日本人の場合、約40%の人が遺伝的にその分解酵素が欠損しているのです。

そのため、アセトアルデヒドは血液中を流れて食道壁の表面の「扁平(へんぺい)上皮」に影響を及ぼします。プラス、唾液の中にもアセトアルデヒドが出て、直接食道にだけではなく、咽頭や喉頭にも影響することになります。アセトアルデヒド分解酵素を持っていない約40%の人の中でも、特にリスクが高いのは「お酒を飲むとすぐ顔が赤くなるのに、そのあともかなりお酒が飲めるタイプ」です。欧米人などは分解酵素をしっかり持っているので、飲酒をしても顔は赤くなりません。だから、食道がんを発症する人が少ないのです。もちろん、リスクはゼロではありません。

では、お酒は1日どれくらいの量にするべきか。今、言われているのは、飲酒をしてすぐに顔が赤くなる人は、日本酒に計算して1合程度まで。深酒はしないということです。

飲酒に加え、「喫煙」も問題です。飲酒に喫煙が加わると食道がんの発生頻度が数倍アップすると報告されています。「お酒は1合まで」「タバコは禁煙」-。これをしっかり実践して食道がんを予防しましょう。(医学ジャーナリスト・松井宏夫)